2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎盤に発現するニューロトロフィンの役割と胎児発育におけるその意義
Project/Area Number |
21592096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 啓司 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (10324633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角井 和代 京都大学, 医学研究科, 助教 (40531067)
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90192062)
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Keywords | 胎盤 / ニューロトロフィン / 子宮内胎児発育遅延 / 妊娠高血圧症候群 / 臍帯血 |
Research Abstract |
子宮内胎児発育遅延(IUGR)や妊娠高血圧症候群(PIH)は、胎児の低出生体重をきたす重要な疾患である。また胎児神経系の発育は出生後の神経学的予後に影響する点で非常に重要である。本研究は、胎児神経発育に必須であり、卵巣や子宮内膜などに発現して生殖現象においても役割を果たしているニューロトロフィン(NTs)とその受容体の、胎盤や胎児・母体血中における発現を詳細に調べるとともに、培養細胞やIUGRモデルマウスを用いてその働きを調べることにより、胎児・胎盤発育におけるNTsの役割を検討すると共に、NTsを介した胎児-胎盤間の協調作用及び胎児神経発育に関する新たな知見を得ることを目的としている。平成21年度は、ヒト胎盤においてNT受容体のうち主としてTrkBが発現していること、その発現は絨毛組織に局在していること、また妊娠の経過とともに増加しIUGRやPIH症例では亢進していること、さらに体重差のある双胎において低体重児の胎盤で発現が亢進していることを明らかにした。一方NTsのうちTrkBの主なリガンドであるBDNFが胎児・母体血中に存在し、PIH症例でその母体血中濃度が増加していることを見いだした。次に、TrkBを発現している絨毛癌培養細胞を用いて、BDNFが酸化ストレスによるアポトーシスを抑制することを確認した。これらの結果より、IUGRやPIHの病態において、BDNF/TrkBシグナルが何らかの関与をしていることが強く示唆された。今後、さらにその機能について検討を重ねて行く予定である。
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