2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌剤と抗エストロゲン剤を用いた子宮内膜症の新たな治療法の開発に関する基礎的検討
Project/Area Number |
21592101
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
KHAN Khaleque Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60336162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 道夫 長崎大学, 病院, 助教 (50380845)
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Keywords | 子宮内膜症 / 細菌性エンドトキシン / ストレス反応(Hsp70) / TLR4 / 腹水 / 月経血 / polymyxin B / anti-TLR4 antibody |
Research Abstract |
子宮内膜症の病態は未だ明らかでなく,一つの仮説で一義的に説明することは困難である.子宮内膜症の増殖・維持には内分泌因子と炎症が関与しているが,これらにおける炎症とストレス反応の関連は必ずしも明らかでない.今回,私どもは,Toll-like receptor 4(TLR4)を介した子宮内膜症の増殖における炎症と局所の組織ストレス反応の相互関係について検討した. 月経血(MF)および腹水(PF)中のエンドトキシン濃度は,非子宮内膜症女性に比して,子宮内膜症女性において有意に高かった.Mφおよび子宮内膜組織において,TLR4mRNAおよび蛋白の発現が認められた.正所性あるいは異所性子宮内膜の腺細胞および間質細胞にHsp70の発現が認められた.Hsp70濃度はMFで最も高く,次いでPFで,血清中がもっとも低く,これらは非子宮内膜症女性に比して子宮内膜症女性で有意に高かった.LPSはTLR4を介してMφからの種々の炎症惹起物質の産生や子宮内膜組織でのHsp70の発現や細胞増殖を亢進させた.これらのLPSの作用は非子宮内膜症コントロールに比して,子宮内膜症女性において顕者であった.一方で,Mφおよび子宮内膜細胞をHsp70で処理したところ,TLR4を介した各種サイトカイン産生および細胞増殖が亢進した.LPS拮抗物質であるポリミキシンBは,LPSおよびHsp70の子宮内膜細胞に対する協同的な増殖作用を抑制しなかったが,抗TLR4抗体処理によりこれらの増殖作用は抑制された. 子宮内膜症女性では,非子宮内膜症女性に比して,炎症反応および組織内ストレス反応が亢進していることが推察された.エンドトキシンおよびHsp70は,これらの炎症反応およびストレス反応に相互に関与し,骨盤局所における炎症とストレス反応のクロストークはTLR4を介した子宮内膜症の増殖に関連している可能性がある.
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Research Products
(12 results)