2010 Fiscal Year Annual Research Report
胎児脳機能リズム形成に及ぼす母体環境ストレスの影響について
Project/Area Number |
21592103
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
池ノ上 克 宮崎大学, 理事 (60232211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立元 真 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (50279965)
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Keywords | 胎児脳機能 / active and inactive state / リズム形成 / 中大脳動脈血流速度 / 神経学的発達 / 心理学的検査 |
Research Abstract |
胎児期のリズム形成の時期の観察を行い、登録症例の更なる増加に努めた。現在までに総数88例が登録を済ませ、出生後の神経発達検査にまわっている。リズム形成の時期については、正常群では在胎33週に出現することが確認されたが、様々な母体環境ストレスの結果、胎児発育遅延となった群ではその時期が遅れることが観察された。これまでの羊胎仔の実験モデルにおいて、active stateには脳の血流が増加し、酸素消費量も増加することが報告されており、胎児脳の正常な発達にはactive stateの果たす役割が重要であることが知られている。そのためリズム形成時期の観察に加えて、active stateとinactive stateにおける胎児中大脳動脈の血流速度を超音波ドップラー法を用いて測定した。その結果、active stateではinactive stateに比して中大脳動脈の血流速度により大きなばらつきがあることが観察された。次年度もさらに観察症例数を増加する予定である。 一方、胎児期のリズム形成の時期を観察し登録を終了した児の出生後の神経学的発達の評価は、十分な訓練を受けた心理士2名が3歳児に行っている。宮崎大学産婦人科内の整備した1室を使い、母親からの聞き取り調査に基づいてKIDS(発達検査)、K-ABC(認知能力検査)および田中ビネーV(知能検査)をこれまで9例について完了している。結果としては胎児発育遅延をしめした児の認知能力に偏りは認められないが、正常発育をとげて正期産となった3例のなかに、むしろ認知処理の偏りが観察されるという結果であった。神経発達検査の同意が得られた児の心理発達検査例数をさらに蓄積してより詳細な検討を次年度も続ける予定である。
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