2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラミジア熱ショックタンパク質の卵管炎病態形成への関与
Project/Area Number |
21592107
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
平野 由紀 Jichi Medical University, 医学部, 助教 (10398521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴原 浩章 自治医科大学, 医学部, 教授 (80206143)
島田 和彦 自治医科大学, 医学部, 助教 (60424024)
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Keywords | クラミジア・トラコマティス感染症 / 抗精子抗体 / 熱ショック蛋白60 / 卵管性不妊症 / 免疫性不妊症 |
Research Abstract |
生殖器官における炎症性疾患は、抗精子抗体(ASA : anti-sperm antibody)産生の危険因子となりうることが報告されている。このうちクラミジア・トラコマティス(Ct : Chlamydia trachomatis)のような特定の微生物抗原とヒト精子の間に、免疫学的に交差反応する抗原が存在するとの報告があるが、未だ結論には至っておらず、今回不妊女性における抗Ct抗体(ACA : anti-Ct antibody)の存在とASA産生との関係を検討した。 不妊女性の273人の血清中の精子不動化抗体を間接精子不動化試験(I-SIT : indirect-sperm immobilization test)で、ASA保有の有無を検討した。また血清中ACA (IgG、IgA)をELISA法で測定した。 その結果I-SITは2.9%(8/273)で陽性であった。精子不動化抗体の保有率は、Ct感染既往ありの6.4%(5/78)、Ct感染既往の無しの1.5%(3/195)であり、Ct感染既往のある女性に有意に高率であった(p=0.031)。Ct感染既往のある78人において、精子不動化抗体保有の有無でのACA抗体価IgGは1.48±0.5vs 2.64±0.4、IgAは2.72±1.0vs 3.72±0.4と各々有意差はなかった(p>0.05)。精子不動化抗体を保有する8人において、Ct感染既往の有無でのSI_<50>値は各々4.72±2.9vs 5.30±2.5と有意差はなかった(p>0.05)。 よって不妊女性の精子不動化抗体の保有率は、Ct感染既往のある女性に有意に高率であり、Ct感染が女性の精子不動化抗体の産生の一因となる可能性のあることが判明した。これらの関係と抗ヒートショックプロテイン60抗体価との因果関係は確認できなかったが、Ctおよびヒートショックプロテイン60が精子膜上の共通抗原となりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)