2010 Fiscal Year Annual Research Report
クラミジア熱ショックタンパク質の卵管炎病態形成への関与
Project/Area Number |
21592107
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
平野 由紀 自治医科大学, 医学部, 助教 (10398521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴原 浩章 自治医科大学, 医学部, 教授 (80206143)
島田 和彦 自治医科大学, 医学部, 助教 (60424024)
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Keywords | クラミジア・トラコマティス感染症 / 抗精子抗体 / 熱ショック蛋白60 / 卵管性不妊症 / 免疫性不妊症 |
Research Abstract |
クラミジア・トラコマティス(Ct)感染症は卵管性不妊症、子宮外妊娠や骨盤腹膜炎の発生と密接に関係する。細菌やウイルス感染、外科的ストレス、悪性転換、虚血、出血性ショックなどの有害な条件に遭遇した細胞は、自らを保護するためにこれらのストレス刺激に対し誘導性のheat shock proteinを合成する。Ctなどの微生物では、永続的な環境変化に暴露されているが、このような変化に適応するため微生物自身もHSPを産生する。病原菌の侵入は宿主であるヒトにとってストレスで、宿主は病原菌め存在に応答する免疫を誘導するためHSPを産生する。病原菌にとっても対峙する環境が出現し、病原体由来のHSPも産生される。cHSP60ほクラミジア属間では95%を超える高いタシパク質レベル一致率で高度に保存され、またcHSP60は他の細菌種の相両HSP60とアミノ酸配列が約60%一致し、ヒト由来のHSP60とは約50%の相同性がある。この相同性がcHSP60とhuman HSP60の交差反応の原因となり得る。またCtによる広範な炎症には、cHSP60に対する宿主の免疫応答の活性化が深く関与することが知られている。Ct持続感染ではCt菌体は増殖しないが、免疫原性の高いcHSP60は産生され続け、cHSP60に対する宿主であるヒトの免疫応容活性化により、再感染の際の遅延型過敏反応を惹起する。この遅延型過敏皮応がCt持続感染の際の広範な炎症に関与する。 またクラミジアと同様に免疫性不妊症に密接に関与する抗精子抗体賛成の有無との因果関係を確認するため、それぞれ抗クラミジア・トラコマティス抗体保有不妊女性の抗精子抗体の有無及び抗体価を測定し関与を確認した。 これらの関係と抗ヒートショックプロテイン60抗体価との因果関係は確認できなかったが、クラミジアおよび精子膜上の共通抗原となりうる蛋白の可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)