2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト着床におけるカドヘリンを介した子宮内膜腺上皮細胞層の再構築機序の解明
Project/Area Number |
21592108
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90286534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10209702)
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Keywords | 着床 / カドヘリン / 上皮間充織転換 / 組織再構築 |
Research Abstract |
ヒト着床における胚の陥入による子宮内膜上皮細胞層の破壊と再構築において、分子学的機序はまったく解明されていない。破壊と再構築の基盤として、細胞死と細胞増殖による子宮内膜上皮細胞の数的変化によるものが想定されるが、遠心性・求心性の運動による子宮内膜上皮細胞の動的変化による基盤の存在を作業仮説として検討した。 ヒト子宮内膜上皮細胞株Ishikawaと絨毛癌細胞株JARのspheroidを用いた内膜-胚モデルによるin vitro着床アッセイを以て解析した。前年度に子宮内膜上皮細胞の運動能を亢進させうる上皮間充織転換(EMT)を惹起しうると明らかにした条件下(卵巣ステロイドホルモン添加、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤[HDACI]添加)において、(1)着床率(接着率)に変化は認めないが、(2)胚伸展面積速度(単位時間あたりの胚の伸展)は有意に上昇した。しかし、(3)胚陥入による上皮組織欠損部の子宮内膜上皮細胞の被覆速度には有意差を認めなかった。さらに、(2)の現象はEMTで特徴的に局在変化するN-cadherinの機能阻害抗体FA-5の添加によって有意差をもって抑制された。 また、実際に子宮内膜上皮細胞の運動能に変化を認めるのか否かを、創傷治癒アッセイを用いて検討したところ、卵巣ステロイドホルモンやHDACI添加によって集団としての細胞運動能は亢進し、逆にFA-5の添加によって運動能は抑制された。 以上から、ヒト着床において、卵巣ステロイドホルモンの制御下に、子宮内膜上皮細胞ではEMTが惹起され、N-cadherinの発現・局在変化が亢進することで、細胞運動能が上昇し、胚の陥入に有利に陥入ルートを形成すべく遠心的に運動する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Stem cell-like properties of the endometrial side population : implication in endometrial regeneration.2010
Author(s)
Masuda H, Matsuzaki Y, Hiratsu E, Ono M, Nagashima T, Kajitani T, Arase T, Oda H, Uchida H, Asada H, Ito M, Yoshimura Y, Maruyama T, Okano H
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 5
Pages: e10387
Peer Reviewed
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