2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹腔マクロファージの分化制御による卵巣癌腹膜播種の抑制を目指した治療法の開発
Project/Area Number |
21592137
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田代 浩徳 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (70304996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90224451)
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
卵巣癌患者腹水中でマクロファージが増加していることや、腫瘍組織にも浸潤、集簇することが既に知られている。マクロファージは炎症性サイトカインにより誘導されるものをM1マクロファージ、抗炎症性サイトカインにより誘導されるものをM2マクロファージと分類されるが、後者は血管新生因子や細胞増殖因子を産生することで腫瘍増殖に関わることは周知のこととなっている。従って、上皮性卵巣癌における腹水中や組織内のマクロファージの機能やマクロファージが産生するサイトカインを解析することで、上皮性卵巣癌の特徴である腹腔内への播種や播種病巣の増殖にかかわる因子を同定し、それを制御する方法を発見することで、従来には存在しない新たな上皮性卵巣癌の治療の開発に繋がる可能性を有しているものと考えられる。 これまでの本研究において、卵巣癌患者腹水中ではコントロール群に比較してマクロファージとM2マクロファージが増加し、Interleukin(IL)-6、IL-10、Growth related oncogene-αのサイトカインが増加していた。この中で、IL-6とIL-10は癌細胞とマクロファージの両者に局在が確認された。ヒト上皮性卵巣癌細胞株SKOV3の増殖能の検討では、卵巣癌III+IV期症例の腹水がコントロール(子宮筋腫)、I期症例に比較して有意に増殖を促進した。さらにSKOV3とマクロファージとの共培養の結果、マクロファージのM1からM2への分化にはSTAT3のリン酸化が関与し、細胞間相互作用によりSKOV3のSTAT3リン酸化も促進させ、SKOV3の増殖に寄与することが示された。
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