2011 Fiscal Year Annual Research Report
PTEN遺伝子改変マウスを用いた子宮内膜癌の新規治療薬の開発
Project/Area Number |
21592138
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂口 勲 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40448527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90224451)
田代 浩徳 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70304996)
齋藤 文誉 熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (20555742)
|
Keywords | 子宮内膜癌 / PTEN遺伝子 / 黄体ホルモン / 遺伝子改変マウス / Cre-loxPシステム |
Research Abstract |
本邦の子宮内膜癌は、欧米諸国に比較し過去においては頻度の低い癌であったが、この20年間で急激な増加傾向を示してきている。子宮内膜癌全体の増加に伴い、挙児を希望する若年者の治療機会が多くなってきている。現在、このような若年者で、筋層浸潤のない、高分化型類内膜腺癌の症例に対し、高用量黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン:MPA)療法の効果が示されているが、血栓症や体重増加等のMPAの副作用の点から、新たな治療薬の登場が待たれている。しかし、MPA以外には子宮内膜癌に対する妊孕能温存治療は存在しないのが現状である。これは、有効な子宮内膜癌の治療効果判定システムが存在しないためである。これまでの本研究において、loxPシステムのPTEN遺伝子改変マウスを用いて、子宮内腔にAdeno-Creを注入することで、子宮内膜に癌腫の形成が確認され、病理組織学的検討においてもヒト子宮内膜癌に類似する組織像を呈する子宮内膜癌モデルマウスの確立に成功し論文に発表した。さらに、このマウスに現在ヒト子宮内膜癌に対して治療薬として使用されるMPAを投与することで、ヒト子宮内膜癌と同等の治療成績が確認され、このマウスを用いた子宮内膜癌治療薬効果判定システムを構築することができた。われわれは、MPAに代わる黄体ホルモン製剤としてジエノゲストに着目し、当施設で開発した子宮内膜癌モデルマウスを用いて、子宮内膜癌におけるその抗腫瘍効果を検討した。現在、MPAに比較し副作用の少ない他の黄体ホルモン薬であるジエノゲストを投与し、83%に抗腫瘍効果が認められている。今後、マウスの数を増やし、その治療成績の詳細を示すことで、ジエノゲストの有用性が示されるものと考えている。また、現在、レプチン異常を有するOb/ObマウスとPTEN変異マウスの交配を行っており、数匹に癌種の形成が確認されている。マウスの数を増やし解析を行うことで、肥満女性に多く発生する子宮内膜癌の発癌機構を検討することが可能になるものと考えている。
|
Research Products
(3 results)