2009 Fiscal Year Annual Research Report
子宮癌での上皮―間葉転換による免疫抑制環境構築の分子機構解明とその臨床応用
Project/Area Number |
21592144
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 知信 Keio University, 医学部, 助教 (20199334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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Keywords | 癌 / 上皮間葉転換 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
進行・再発子宮癌では、新しい治療法や診断法の開発が期待されているが、我々は、一貫して、子宮体癌および子宮頸癌に対する免疫療法や分子標的治療の開発に向けた研究を継続してきた。本研究では、子宮体癌・子宮頸癌において、癌細胞転移に重要な上皮-間葉転換(Epithelial mesenchymal trasnsition : EMT)が、癌細胞の遊離や浸潤能亢進による転移だけでなく、我々が悪性黒色腫研究で最近見いだした強い免疫抑制活性により転移を促進している可能性を検討し、その分子・細胞機構の解明により、子宮癌に対する新しい診断法や治療法の開発を目指す。 子宮体癌細胞株9株、子宮頚癌細胞株8株についてsnail1、E-cadherin、vimentinの発現を調べ、そのEMTの状況を解析した。snail1の発現は全ての細胞株で認められ、その発現量に大きな差は認められなかった。一方、E-cadherinとvimentinはその発現に逆相関があり、それぞれの細胞の状態を反映していると考えられた。またsnail1、E-cadherin、vmentinの発現と抑制性サイトカインIL6の産生に関連性は認められなかった。sanil1の発現に大きな差は認められなかったが、下流の状態が異なることが認められたため、snail1の発現調節に関与するNFkB、ERK、Wnt/b-cateninなどについて検討したところ、E-cadherinの発現とb-cateninの発現に相関が認められ、体癌・頸癌のEMTにGSK-3bの関与が考えられた。また同一患者から細胞の形態だけで分離・樹立した2細胞株でE状態、M状態が観察され、細胞株を用いた解析だけでなく、患者検体での解析の重要性が示唆された。
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