2009 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌転移の糖鎖機能解析と認識糖鎖抗原に対する新規ヒトモノクローナル抗体の開発
Project/Area Number |
21592145
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 Keio University, 医学部, 助教 (00255514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅美 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (10276321)
冨永 英一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80276328)
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Keywords | 婦人科癌 / リンパ節転移 / 糖鎖抗原 / ヒトモノクローナル抗体 / 抗体医療 |
Research Abstract |
本研究の最終目的はリンパ節転移に特化した新たな治療薬の開発である。それへ向けて本年度の研究では我々はin vivoのリンパ節の転移モデルとして、リンパ節へ特異的に転移を示す細胞株を複数樹立した。実験系を確立するために、子宮体癌や卵巣癌のヒト婦人科癌由来の細胞株をヌードマウスに同所性移植し、約6~8週間後に形成された後腹膜リンパ節転移巣を摘出、初代培養したものを再度同所性移植することを数回繰り返すin vivo selection法を用いて骨盤リンパ節へ特異的に高転移株を樹立した。複数樹立しつつある中には子宮体癌Hec 1-A細胞の高転移性を示す細胞株を樹立した。 リンパ行性転移過程においては細胞間の認識に細胞表面糖鎖は重要な役割を果たす。今回の研究では、新たに開発されたglycoblotting法を利用して、リンパ節高転移細胞株と低転移細胞株の細胞表面糖鎖構造解析を行ない、質量分析にてリンパ節転移との関連性が高い糖鎖構造を特定している。現在までの解析結果にて子宮体癌Hec 1-Aの高転移細胞株は低転移細胞株に比べて高マンノース型の糖鎖構造が相対的に増加し、低転移株ではより複合型糖鎖構造が増加している。さらに分子レベルでの解析も行なうため、DNAマイクロアレイにて両細胞間の発現分子の差も検討中であり、同定された分子の修飾糖鎖抗原の解析も上記方法にてすすめている。 今後はglycoblotting法を用いて転移関連糖鎖抗原を発現する腫瘍細胞を精製する予定である。リンパ節転移腫瘍細胞の表面糖鎖を捕捉し、転移能にかかわる細胞表面の機能的糖鎖構造を精製して免疫原にして、新たな治療薬のヒト型モノクローナル抗の作製を現在すすめている。
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