2010 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌転移の糖鎖機能解析と認識糖鎖抗原に対する新規ヒトモノクローナル抗体の開発
Project/Area Number |
21592145
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00255514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅美 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (10276321)
冨永 英一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80276328)
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Keywords | 婦人科癌 / リンパ節転移 / 糖鎖抗原 / ヒトモノクローナル抗体 / 抗体医療 |
Research Abstract |
本研究の最終目的はリンパ節転移に特化した新たな治療薬のヒト抗体の開発である。昨年度までの研究でin vivoのリンパ節の転移モデルとして、リンパ節へ特異的に転移を示す細胞株を複数樹立した。特に子宮体癌Hec-1A細胞を用いて高転移性を示す細胞株を樹立した。リンパ行性転移過程においては細胞間の認識に細胞表面糖鎖は重要な役割を果たすため、glycoblotting法を利用して、リンパ節高転移細胞株と低転移細胞株の細胞表面糖鎖構造の比較解析を行ない、質量分析にてリンパ節転移との関連性が高い糖鎖構造を特定した。現在までの解析結果にて子宮体癌Hec 1-Aの高転移細胞株は低転移細胞株に比べて高マンノース型の糖鎖構造が相対的に増加し、低転移株ではより複合型糖鎖構造が増加していることが判明した。さらに分子レベルでの解析も行なうため、DNAマイクロアレイにて両細胞間の発現分子の差を検討し、転移能に関連する分子の修飾糖鎖抗原遺伝子背景の解析も進行中である。 さらに今年度はglycoblotting法を用いて転移関連糖鎖抗原を発現する腫瘍細胞の精製方法を開発した。この方法を用いてリンパ節転移腫瘍細胞の表面糖鎖を捕捉し、転移能にかかわる細胞表面の機能的糖鎖構造を精製して免疫原にして、新たな治療薬のヒト型モノクローナル抗の作製を進めている。この方法で精製した腫瘍細胞を免疫原としてKM mouseに投与し、従来方法にてマウス脾細胞とミエローマ細胞の細胞融合を行った。得られたハイブリドーマ上清のスクリーニングには免疫組織化学的染色およびcell ELISAを用いて、高転移細胞株および低転移細胞株の違いを利用して、特異的に反応するハイブリドーマを選別中である。今後は作製した抗体の抗腫瘍効果およびリンパ節抑制効果を検討し、治療効果を有する抗体を確立する。
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