2011 Fiscal Year Annual Research Report
仮想現実による高齢者の空間認知の研究:運動器不安定症への対策に向けて
Project/Area Number |
21592155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西池 季隆 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90283762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 洋 産総研, 健康工学研究部門, 主任研究員 (20358386)
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Keywords | 実験系心理学 / 認知科学 / 脳・神経 / バーチャルリアリティ / リハビリテーション |
Research Abstract |
没入型Virtual-reality装置(CAVE)を使用して、視覚環境の一部をスライドまたは回転させることが歩行や姿勢および眼球運動に与える影響を比較検討した。今回対象となったのは20歳代の健常被験者29名および65歳から75歳の高齢者32名である。 前壁面中央に投影したランダムドットパターンについて右平行移動、右回転の2種類の運動成分を設定し、被験者の頭部位置が歩行開始から0.9mの距離に到達した時に刺激を提示した。被験者はアラーム音とともにCAVE内を前方へ歩き始め、ランダムドットパターンの運動提示とともに歩行停止するというTrialを2種類の視運動性刺激につきランダムに各4回ずつ、計8回繰り返すというSetを、3分の休憩をはさんで3回行った。Controlとして、ランダムドットパターンが消えるとともに歩行停止するというTrialを8回行った。 結果として、若年者では回転刺激時にはControlに比し左右への頭部偏位が増大し、4回のTrial全てで同程度の頭部偏位がみられたが、前後方向へはTrialを追うごとに頭部偏位が減少し、適応が見られた。平行刺激ではどのTrialにおいてもControlと同程度の頭部偏位であり、眼振の最大緩徐相速度にも変化は見られなかった。高齢者では回転刺激、平行刺激ともに刺激開始時はControlと同程度の頭部偏位であったが、3回目のSetで頭部偏位が増大した。 刺激開始時に、高齢者でControlと同程度の頭部偏位であったことについては、若年者に比し歩幅が小さく歩行速度が遅く、歩行停止時やや開脚姿勢であったことなどが影響したと考えられた。また、3回目のSetで頭部偏位が増大したことについては、高齢者の方が休憩をはさんでも視運動性刺激の影響が残存する可能性が考えられ、視覚刺激を用いたリハビリが奏功しやすい可能性が考えられた。
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