2011 Fiscal Year Annual Research Report
実験的真珠腫モデルを用いた真珠腫上皮細胞のアポトーシスに関する研究
Project/Area Number |
21592158
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
比野平 恭之 昭和大学, 医学部, 講師 (00238320)
|
Keywords | 中耳真珠腫 / 実験モデル / アポトーシス / 組織学的検討 |
Research Abstract |
平成23年度はモルモットで中耳真珠腫増殖抑制モデルを作成し、増殖抑制効果に対するアポトーシスの関与を検討した。 1.実験方法 (1)生後6~8週齢のモルモットを15匹用いた。全身麻酔後、中耳骨胞を手術用顕微鏡下に開放し、予め採取した耳介基部の皮膚(2×2mm)を全層で結合組織側を下に骨面へ移植した。デンタルセメントを用いて開放した骨胞を閉鎖し、創面を縫合した。 (2)皮膚移植3週後、全身麻酔後に再び中耳骨胞を開放した。皮膚嚢胞の形成を確認した後に嚢胞壁を破り、5匹で嚢胞内の表皮剥屑物(debris)を可及的に掻き出して上皮下の肉芽組織内に散布した。これらをコントロール群とする。debris散布後の中耳腔にハイドロキシアパタイトの顆粒を充填し創面を縫合した。これら5匹の処置群ではハイドロキシアパタイト充填は行わずに骨胞を閉鎖し、創面を縫合した。 (3)4週目と8週目に両群の動物はペントバルビタールの致死量投与により屠殺し側頭骨を摘出した。直ちに顕微鏡下に実験的真珠腫を摘出し、摘出標本を4%ホルマリンで固定した。パラフィン包埋を行い、薄切切片を作成した後、脱パラフィン処理、タンパク分解処理などを行って標識抗体に反応させ、脱水、透徹処理を行って検鏡し、観察組織100細胞中のアポトーシス細胞をカウントし、コントロール群と充填群で比較検討した。 2.結果 経過中に死亡した5匹を除く10匹で検討を行った。 (1)コントロール群の4匹ではすべてに嚢胞の再形成と増大が見られた。一方、処置群では嚢胞の再形成は見られず、萎縮し一部は壊死に陥った嚢胞上皮が確認されたのみであった。 (2)現在、アポトーシス細胞をカウントし、コントロール群と充填群で比較検討を行っているが、処置群でアポトーシスの発現が顕著である傾向が見られている。
|