2011 Fiscal Year Annual Research Report
メニエール病発作発現時と治療時における前庭機能に関する研究
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21592159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿木 章伸 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60243820)
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Keywords | メニエール病 / 内リンパ水腫 / 抗利尿ホルモン / めまい発作 |
Research Abstract |
臨床において、メニエール病のめまい発作発症にはストレスが大きく関与していることが知られている。このストレスを反映して、メニエール病患者では抗利尿ホルモンが異常高値を示すことを報告してきた。さらに、人側頭骨病理およびCTによる研究においてメニエール病の内リンパ嚢が発育不全や線維化といった所見を示し、内リンパ嚢の機能不全が存在することが推定されている。これらの臨床的特徴をもとに、メニエール病のモデル動物を作成し、前庭機能を観察した。具体的には、モルモットの内リンパ管および嚢を手術的に閉塞し1もしくは4週間飼育の後、抗利尿ホルモン2型受容体作動薬であるデスモプレッシンを皮下注する。このモデル動物では、高率に自発眼振および体平衡異常をきたすことが判明した。さらに、組織学的には、内リンパ管および嚢を手術的に閉塞後、長期経過した動物にデスモプレッシンを投与した動物が有意に大きな内リンパ水腫を形成した。この内リンパ水腫動物に抗利尿ホルモン2型受容体拮抗薬を投与すると、内リンパ水腫の軽減効果が認められた。この結果から、メニエール病の治療薬として抗利尿ホルモン2型受容体拮抗薬が有効である可能性が示唆された。今後さらに研究を進め、抗利尿ホルモン2型受容体拮抗薬の有効性を検証する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では抗利尿ホルモン2型受容体拮抗薬の内リンパ水腫軽減効果について検証することを目的としていた。この目的をほぼ達成できる結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
メニエール病のモデル動物ではめまい発作を誘発することが解明されたが、その病態である内リンパ水腫の程度については蝸牛に関するデータのみであったので、蝸牛、前庭、半規管について詳細に検討しメニエール病の発作発症機序を検討する。
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Research Products
(4 results)