2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君付 隆 Kyushu University, 医学研究部, 准教授 (50240908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 希 九州大学, 大学病院, 助教 (60419596)
大橋 充 九州大学, 大学病院, 医員 (70529883)
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Keywords | 内耳 / 蝸牛 / 有毛細胞 / イオンチャネル / カリウムチャネル |
Research Abstract |
内耳蝸牛の内有毛細胞は、音による機械的刺激を電気信号に変換し、聴神経へと伝播する受容器細胞である。内有毛細胞に存在する膜イオン電流の中でも、K電流は細胞静止膜電位の保持、興奮刺激後の再分極(細胞のリセット)に関与しており、細胞生存のために重要な膜イオン電流である。K電流の中で、TEA(tetraethylammonium)感受性の速いK電流(Ik, f)は、細胞の素早いリセットに最も関与するため、Ik, f電流の生理学的特性を解明することが重要である。ところが、これまでliving cellに対して行われてきた電気生理学的研究は、室温(20-25℃)にて行われており、ホ乳類の生理的環境である36℃前後での研究は行われておらず生理的な特性を示していなかった。本研究では、内有毛細胞のK電流の温度依存性について、特に36℃での特性について、パッチクランプ法を用いて研究することを目的とする。 まず36℃でIk, f電流を測定するために、温度コントローラ(Dagon DTC-200)を既存のパッチクランプセットに組み込み、急性単離した細胞形態や細胞生存時間をチェックした。内有毛細胞が損傷なく単離されることが確認された。本年度購入のオスモメータ(ゴノテック、030-3P)にて溶液浸透圧を正確に測定でき、安定した細胞を得ることができた。 コントロールとして室温にてK電流を測定したところ、脱分極刺激にて外向きに流れる既知のK電流(Ik, f電流を含む)以外にも、過分極刺激にて内向きに流れるK電流の存在を認めた。外有毛細胞では、同様の電流が"Ik, n電流"として報告されているが、今回用いたモルモットの内有毛細胞ではこれまで報告を認めない。本研究の目的であるIk, f電流を記録する際に、混在する可能性があるため、本年度はまず内有毛細胞のIk, n電流特性について研究した。テールカレントによる活性化曲線では、静止電位の-60mVで約70%がすでに開いており、特異的ブロッカーであるLinopirdine, XE991にてブロックされ、これまで他細胞で報告されているIk, n電流と同様の特性を示した。
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Research Products
(6 results)