2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592161
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大橋 充 九州大学, 大学病院, 医員 (70529883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君付 隆 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50240908)
松本 希 九州大学, 大学病院, 助教 (60419596)
新納 宏昭 九州大学, 大学病院, 助教 (20380636)
|
Keywords | 内耳再生 / 内耳障害 / レーザーキャプチャーマイクロダイセクション / Musasahi1 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
人を含め哺乳類における内耳有毛細胞の障害は薬物、加齢、騒音など様々原因で生じる。これらの変化の多くは不可逆性であり、有効な治療手段がない。不可逆的な内耳障害に対しては内耳有毛細胞の再生による治療を確立する必要がある。現在までの研究で有毛細胞に分化しうる細胞(有毛細胞前駆細胞、内耳組織幹細胞)が支持細胞の中に含まれていることが分かっている。また、Atoh1が有毛細胞前駆細胞から有毛細胞への分化転換する遺伝子であることはほぼ解明されているが、有毛細胞の供給源となる前駆細胞の増殖、維持に関してははっきりした知見は得られていない。本研究では哺乳類よりも格段に内耳再生能力の高いchickの前庭を用い、有毛細胞前駆細胞が存在する支持細胞での遺伝子発現解析を行った。それぞれの細胞群の採取はレーザーマイクロダイセクション法を使用して行った。内耳有毛細胞と支持細胞におけるcDNAマイクロアレイデータ(Affymetrix gene chip (chick))の比較で有意差をもって発現していた遺伝子のうち、Musashi1に注目した。Musashi1遺伝子は他の複数臓器(中枢神経、網膜、大腸、乳腺上皮)において、組織幹細胞の維持、増殖に大きく寄与する幹細胞マーカー遺伝子と考えられている。我々は更に、Musashi1遺伝子に関してq-PCRでmRNAレベルの検証を行い、免疫染色で蛋白レベルの内耳支持細胞への局在の確認を行った。また、内耳障害モデルにおいてBrdUを用いた実験により、支持細胞増殖時期にMusashi1蛋白の発現上昇を認めることを証明した。これらの結果より、Musasahi1は内耳組織においても他臓器と同様に組織幹細胞の増殖・維持と関連があることを示唆する所見を得た。内耳障害モデルにおけるマイクロアレイを用いた発現解析に関しても同様にLCMを用いて内耳支持細胞を採取して、内耳障害後の再生時期にさらに活発化した遺伝子のpick-upを試みた.内耳細胞内にBrdUの取り込みが最も上昇を認めた再生の活発化した時間帯を含めて、障害前後の前庭支持細胞を採取・pooingし、それぞれの網羅的遺伝子発現比較解析をおこなった。
|