2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児中耳炎の難治化の病態解明とウイルスと細菌の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
21592165
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90336892)
田村 真司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244724)
戸川 彰久 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70305762)
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Keywords | 中耳炎 / 細菌感染 / ウイルス感染 |
Research Abstract |
上気道感染症の多くは急性上気道炎に続発して発症することが多く、ウイルス感染のあとに二次的に細菌感染が起こる。上気道炎症状を発症してから、おおむね7日以内に細菌感染を発症するが、ウイルス感染が細菌感染を引き起こす基盤となる。しかし現在のところ、ウイルス感染と細菌感染の相互関係に関する報告は少ない。 急性中耳炎患児の中耳貯留液、および鼻腔洗浄液からウイルスをPCR法により検討すると、鼻腔洗浄液からはウイルス単独で検出された例はなく、ウイルスと細菌の混合感染が22.2%に認められた。一方、中耳貯留液からはウイルス単独で検出された症例が1.1%、ウイルスと細菌の混合感染であった症例が8.6%であり、ウイルスが関与したと考えられる症例は全体の9.7%であった。細菌が単独で検出された症例は47.3%に認められた。検出されたウイルスとしてはrespiratory syncytial virus(RSV)、human metapneumovirus(hMPV)が主なものであった。 小児急性中耳炎の中等症例および重症例222例において、human vocavirus(hBoV)の検出は鼻咽腔洗浄液6.3%、中耳貯留液2.7%であり、肺炎球菌との混合感染はhBoVが検出された症例で72.7%であり、検出されなかった症例の28.5%と比べ、有意に多かった。また、急性中耳炎の臨床経過の検討をおこなった結果ではhBoVの検出された症例で、検出されなかった症例にくらべ、有意に中耳貯留液改善率が不良であった。これらのことからウイルス感染が細菌感染を続発させ、臨床経過を不良とする原因となると考えられた。
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Research Products
(14 results)