2009 Fiscal Year Annual Research Report
中耳真珠腫における骨破壊に関わる促進因子と抑制因子の研究
Project/Area Number |
21592168
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
楠 威志 Juntendo University, 医学部, 先任准教授 (30248025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
古川 正幸 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20359524)
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Keywords | 中耳真珠腫 / 骨破壊 |
Research Abstract |
(研究内容)真珠腫性中耳炎の骨破壊の作用機序の一つとして各種プロテアーゼが働き、はすでに報告されている。また,今回、検討したカテプシンLはメタロプロテアーゼを活性化し、かつカテプシンL自身もメタロプロテアーゼタイプIと同様に骨構成成分の90%であるI型コラーゲンを分解する。しかし,抑制因子についてはあまり報告されていない.そのため今回、我々はメタロプロテアーゼタイプI以外にカテプシンLとそのインヒビターであるシスタチンAおよびスーパーオキサイドデスムターゼ(SOD),メタロプロテアーゼの組織インヒビター(TIMP)を中耳真珠腫上皮と上皮下肉芽について比較検討した。 (結果およびまとめ)MMP-1とカテプシンLの発現については、真珠腫上皮および上皮下肉芽ともに陽性を示した。しかし、実際、カテプシンL活性では真珠腫上皮より上皮下肉芽の方が高値を示した。インヒビターに関しては、TIMP-1の発現はほとんど認めなかったが、シスタチンAとCu, Zn-SODとの発現については、真珠腫上皮のほうが上皮下肉芽より陽性を示す傾向を示した.以上の結果より骨破壊抑制因子であるCu, Zn-SOD、シスタチンAについては真珠腫上皮に多く含まれていた。それに対し、骨破壊促進因子であるカテプシンL活性については、真珠腫上皮より真珠腫上皮下肉芽に高値であった。すなわち、真珠腫性中耳炎の骨破壊の場として上皮下肉芽が重要な役割をはたしていることが予測された。 (本研究の重要性及び意義)臨床の場において高齢や全身状態が悪く手術不可能な患者に対してプロテアーゼおよび破骨細胞の抑制因子であるシスタチンおよびSODの局所投与により真珠腫進展を抑えることが期待できる保存的療法の手がかりになるものと考えている。さらには、これを組み合わせることにより、外来で可能な小手術範囲で安全な術式の発案など、臨床面において画期的な展開が期待できる。
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Research Products
(1 results)