2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫操作による老人性難聴の予防-分子生物学的機序の解析
Project/Area Number |
21592170
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岩井 大 関西医科大学, 医学部, 准教授 (10232638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70115947)
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Keywords | 胎児胸腺 / ヘルパーT細胞 / 老人性難聴 / 免疫老化 / 移植 / up regulation / 加齢 / interleukin 1 receptor types II |
Research Abstract |
当初の研究計画通りに実験が行われた: H21年度の実験により、早期老人性難聴モデルSAMP1マウスにおいて、胎児胸腺の移植が老人性難聴および免疫老化の予防として働き、その予防機序の根本は,若い(加齢性機能障害発生以前の)ヘルパーT(Th)細胞の供給であることが明らかとなった。H22年度は、SAMP1マウスのワイルドタイプであるAKRマウスの若年群(2ヶ月齢。A群)と、SAMP1マウスで難聴発症前の若年群(2ヶ月齢。B群)、発症後の老年群(8ヶ月齢。C群)、さらに胎児胸腺移植で難聴予防ができた移植群(2ヶ月齢で移植。8ヶ月齢。D群)を作製し、検討した。 まず、各群のTh細胞を取り出し、A群→B群→C群(より加齢遺伝子が発現)に移行するに従いup regulationする遺伝子を探した。さらにこの中で、B・D群間(同程度の聴力と免疫機能)でregulationに変化がなく,一方、C群→D群間(胸腺移植により老人性難聴が進行せず)でdown regulationしている遺伝子を検索した。この結果、複数の遺伝子が候補としてあがったが、この中で蝸牛機能および免疫機能両方に関与するのはinterleukin 1 receptor types II (Il1r2)遺伝子のみであり、これを責任遺伝子と考えた。 次に、実際の機能を検討するため、標識抗体を用いてTh細胞表面のIl1r2を検索した。すると、DNA microarrayの結果と同様Il1r2の発現が、C群では増加し、D群ではB群と同程度の低い発現に留まっていることが判明した。対照として解析したinterleukin 1 receptor types I (Il1r1)は各群で発現に変化は認められなかった。 以上のごとく、老人性難聴進行にはTh細胞におけるI11r2遺伝子のup regulationが関与していることが明らかになった。これらの結果は英文雑誌に投稿中である。
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Research Products
(2 results)