2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592175
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森泉 哲次 信州大学, 医学部, 教授 (70157874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川岸 久太郎 信州大学, 医学部, 助教 (40313845)
福島 菜奈恵 信州大学, 医学部, 助教 (90334888)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅上皮 / 嗅球 / ニューロン / 閾値 |
Research Abstract |
生後1日(P1)の新生児ラットにおいて、哺乳のための嗅覚機能発現(Nipple searching)に必要な嗅球投射ニューロン(僧帽細胞)の定量化を試みた。P1ラットの右側の嗅球を除去し、左側の嗅覚伝導路(外側嗅索:LOT)をガラスマイクロピペットで様々な程度に損傷した。哺乳の有無は、Nipple attachmentと胃内ミルクで判定した。神経トレーサー(FG:Fluoro-Gold)を外側嗅索損傷部後方の梨状葉嗅皮質に注入し、軸索損傷を免れたFG(+)僧帽細胞を可視化した。パラフォルムアルデヒド溶液で還流固定し、嗅球を含む脳を摘出した。嗅球・嗅索は、パラフィン切片(前頭断・5μm厚・100μm間隔)を作成し、FG注入部は、凍結切片(前頭断・50μm厚・100μm間隔)を作成した。嗅球投射ニューロンの定量化は、細胞核を有するFG(+)僧帽細胞を100μm間隔のすべての嗅球切片で計測し行った。哺乳機能で2群に分けられた個々の外側嗅索損傷ラットについて、すべてのFG(+)僧帽細胞を計測した。正常・対照ラットのFG(+)僧帽細胞は、3189,3209,3350,3409(n=4)であった。哺乳(+)ラットのFG(+)僧帽細胞は、1203,1360,1454,1534,1568,1583,1586,1641,1781,2046(n=10)であった。哺乳(-)ラットのFG(+)僧帽細胞は、460,569,1161,1296(n=4)であった。正常・対照群のFG(+)僧帽細胞の平均数を100%とすると、哺乳(+)群のFG(+)僧帽細胞は37-62%で、哺乳(-)群のFG(+)僧帽細胞は14-39%であった。以上の結果から、生後1日の新生児ラットにおいては、約40%の嗅球投射ニューロンが1側に存在すれば、哺乳のための嗅覚機能は正常に維持されるものと結論された。
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