2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨床由来マクロライド耐性黄色ブドウ球菌の細胞壁肥厚に関する研究
Project/Area Number |
21592183
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
山田 作夫 Kawasaki Medical School, 医学部, 准教授 (00122458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 保 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30165021)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 細胞壁 / マクロライド / 耐性菌 |
Research Abstract |
マクロライド系抗菌薬(ML)は抗菌薬としてのみならず抗炎症薬として長期に用いられるため、ML耐性菌の出現頻度が高く、臨床上問題となっている。近年、我々は患者から分離したML耐性Staphylococcus capitisが細胞壁肥厚という超微形態的特徴を有することを見出した。そこで、本年度はML耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)における超微形態的特徴の立証を試みた。即ち、臨床由来ML耐性S.aureus10菌株およびML感受性S.aureus10菌株の計20菌株を対象に、常法によって透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、細胞壁の厚さを計測した。その結果、ML耐性S.aureus10菌株における細胞壁の平均の厚さは31.5±3.7nmで、ML感受性10菌株の細胞壁の18.6±2.1nmに比べ有意に厚いことが明らかとなった。さらに感受性S.aureusを親株として実験室内で得られたML耐性分離3菌株は、ともに親株に比べ有意に細胞壁が肥厚していることがTEM観察により確かめられた。従来、MLでS.aureusを処理すると細胞壁が肥厚化することはin vitro実験において既に明らかにされているが、ML投与とは無関係の患者から採取できたML耐性S.aureusが細胞壁肥厚を呈することを今回明らかにすることができた。そのため、細胞壁肥厚という観点からの耐性機構の解明を試みるためにML耐性株における既知のエリスロマイシン耐性遺伝子についてPCR法にて検索した。その結果、既知のML耐性遺伝子と細胞壁肥厚との間には特定の関連性は認められず、また、いずれの既知の耐性遺伝子も保有しない菌株も得られたことから、未だ明らかにされていない新しい耐性メカニズムの存在することが示唆された。
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Research Products
(4 results)