2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床由来マクロライド耐性黄色ブドウ球菌の細胞壁肥厚に関する研究
Project/Area Number |
21592183
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
山田 作夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (00122458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 保 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30165021)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 細胞壁肥厚 / マクロライド / ゲンタマイシン / 臨床由来耐性菌 |
Research Abstract |
蛋白合成阻害薬の一つであるマクロライド系抗菌薬(ML)は臨床現場で頻用されるため、ML耐性菌の出現頻度が高く、臨床上問題となっている。一方、抗菌薬耐性菌は感受性菌と比べ、抗菌薬抵抗性以外の細菌学的性状については大きな相違はないと考えられてきた。しかしながら、従来の本研究の成果として、臨床由来ML耐性Staphylococcus aureusはML感受性S.aureusに比べ細胞壁が肥厚しているという超微形態的特徴を有することを見出すことができ、さらに、MLと同じ蛋白合成阻害薬であるゲンタマイシン(GM)に耐性の臨床由来S.aureus菌株もMLと同様にGM感受性株に比べ、厚い細胞壁を有することを明らかにすることができた。本年度は、実験室内でGM感受性株よりGM耐性株を分離・樹立できたことから、感受性親株と分離耐性変異株の細胞壁の厚さを常法により超薄切片を作製して、透過型電子顕微鏡にて比較観察したところ、その結果、親株は16.27±2.97nmを示したのに比べ、変異株は29.08±3.05nmと有意に厚い細胞壁を有することを明らかにすることができた。そこで、このGM耐性変異株の細胞壁肥厚が、細胞壁構成ペプチドグリカンの実質的増加に基づくものか否かを、SilkwormLarvaePlasma試薬を用いてペプチドグリカン量を測定した結果、GM耐性変異株では親株のGM感受性株に比べ、約3倍増加していることが認められ、電顕観察された細胞壁の肥厚はペプチドグリカンそのものの増加に基づくものであることが確かめられ、GM耐性株はGM感受性株に比べ、細胞壁構成ペプチドグリカン量が多いことが明らかとなった。 一方、GM耐性変異株における、細胞壁肥厚とGM耐性遺伝子との関連性を追求するために、アミノ配糖体修飾酵素遺伝子であるaac(6')-Ie-aph(2")、aph(3")-IIIaおよびant(4")-Iaの3耐性遺伝子について、その有無をPCR法にて検索した結果、aac(6')-Ie-aph(2")は保有するものの、他の2遺伝子は保有しないことが判明した。
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Research Products
(14 results)