2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性核酸ネットワーク解析に基づく頭頸部扁平上皮癌発現制御機構の解明
Project/Area Number |
21592187
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 直彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50345013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花澤 豊行 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (90272327)
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Keywords | 機能性RNA / マイクロRNA / 頭頚部扁平上皮癌 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
頭頸部扁平上皮癌においては集学的治療がなされる現在においても、再発・転移症例が数多く存在し、それら症例の予後は極めて厳しい。そのため、再発・転移症例に対する新規治療法・診断法の開発が望まれている。その為には、現在のゲノム科学的な手法を駆使して、頭頸部扁平上皮癌の再発・転移に関わる新規分子ネットワークを総合的に解明していく事が不可欠である。近年、低分子核酸であるマイクロRNAが癌遺伝子・癌抑制遺伝子として機能し、多くの癌関連遺伝子を制御している事が示されつつある。頭頸部扁平上皮癌臨床検体を用いたマイクロRNA発現解析を施行した結果、miR-1、miR-133a、miR-375、の発現が癌組織で抑制されている事を見出した。これらマイクロRNAの機能解析のため、頭頸部扁平上皮癌由来癌細胞株に核酸導入した結果、癌細胞増殖、浸潤、遊走の抑制を認めた。この事から、miR-1、miR-133a、miR-375は、頭頸部扁平上皮癌における癌抑制型マイクロRNAである事が示された。そこで、これらマイクロRNAが制御する分子ネットワークの解析を遺伝子発現解析を用いて施行した。解析の結果、これらマイクロRNAは、アクチン・細胞接着に関わる遺伝子群を制御していることが示された。この分子ネットワークに含まれる遺伝子をノックダウンした機能解析から、癌細胞の浸潤・遊走に関わる事が明らかとなり、頭頸部扁平上皮癌において転移に関わる癌遺伝子として機能している事が示唆された。癌抑制型マイクロRNAを基点とした分子ネットワークの解明は、これまで知られていない分子ネットワークの存在を明らかにし、頭頸部扁平上皮癌の新規診断法や治療法の糸口となる情報を提供する研究であると考える。
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