2010 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭癌および鼻腔癌におけるヒトパピローマウィルスによる発癌機序に関する研究
Project/Area Number |
21592188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 昌史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80396754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蝦原 康宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50422291)
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Keywords | HPV / 喉頭癌 / 鼻腔癌 / 発癌 |
Research Abstract |
昨年度の結果に伴い今年度は過去の症例についてはパラフィン切片によるp16の免疫染色とin situ hybridization法によるHPV (human papilloma virus)の同定に関して症例数を増やして検討を加える予定であったが、その後の検討でISH法でのvirusの同定の結果が不安定であることが判明(通常過去の報告でもp16が過剰発現し免疫染色で陽性となる症例ではHPVが同定されることがほとんどだが、p16陽性例でもISHでvirusが同定されない)し、条件を変更し実験を行ってきたが安定した結果が得られるには至っていない。このため試薬を変更し現在検討中である。ISH法による分析が困難と判断された場合はパラフィンブロックからのDNA抽出によるPCR法での検討を予定している。 新鮮例についてのPCR法によるvirusの同定およりtypingについては対象を頭頸部全体に広げて検討を行っており症例数が集まりつつあるが、陽性例は中咽頭癌に多く、鼻腔、喉頭に関してはまだまとまった解析が行えるほどの結果は得られていない。しかしながら現在までの有用な結果として、診断のつかない頸部の嚢胞性病変に関して術中迅速診断にて扁平上皮癌(すなわち原発不明頸部リンパ節転移と診断)と診断された3例に関して嚢胞の内溶液からHPV16が検出され、うち1例で後に原発巣が中咽頭前壁(舌根)と診断されている。この知見は当初の鼻腔、喉頭というところからはやや離れたものではあるが、同じ頭頸部癌に関しての臨床において頸部嚢胞性病変の診断および原発不明癌の原発巣検索において重要な所見と考えられ、これについてもあわせて今後症例を増やして検討する予定である。
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