2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオアッセイモデルによる上咽頭癌リンパ節転移機構に関する研究
Project/Area Number |
21592189
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
脇坂 尚宏 Kanazawa University, 附属病院, 講師 (70377414)
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Keywords | EBV / LMP1 / 上咽頭癌 / リンパ管新生 / リンパ節転移 / 動物モデル / VEGF-C / 胸管 |
Research Abstract |
本年度は、研究実施計画に基づき、以下の検討を行った。すなわち、1)上咽頭癌組織切片標本におけるリンパ管新生の程度を抗ポドプラニン抗体を用いて腫瘍組織内リンパ管を染色同定し、その局在とリンパ管増勢の程度を検討した。その結果、リンパ管新生が著しい標本ではリンパ節転移の頻度およびその程度が高くなる傾向を示し、上咽頭癌においてリンパ管新生がリンパ節転移の促進に大きく寄与している可能性が示唆された。2)LMP1の発現とリンパ管数とは有意に相関し、上咽頭癌のリンパ管新生におけるLMP1の重要な役割を示唆する結果であった。3)さらに、上咽頭癌組織標本において、腫瘍細胞におけるVEGF-C蛋白おい発現を免疫染色で示し、VEGF-Cを強発現している腫瘍ではリンパ管新生が促進している可能性が示唆された。4)また、LMP1の発現とVEGF-C蛋白の発現レベルは有意に相関し、LMP1がVEGF-Cの発現を誘導している可能性が示唆された。5)以上の結果を受けて、LMP1発現ベクターを上皮系細胞に導入して、LMP1を共生発現させた所、LMP1陽性細胞ではVEGF-Cの発現レベルが劇的に増加した。以上の結果から、上咽頭癌においてEBV LMP1は強力なリンパ管新生因子であるVEGF-Cの発現を誘導し、リンパ管新生の促進を介してリンパ節転移を促進している可能性が示唆された。6)今後、上記メカニズムの検証を動物実験でするために、LMP1のstable lineを作成する予定である。
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