2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592195
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
益田 宗幸 九州大学, 医学研究員, 研究員 (90284504)
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Keywords | 頭頸部癌 / Stat3 |
Research Abstract |
1. 最近の報告で、マトリゲル培養で選別した大腸癌細胞株は癌幹細胞の特徴を示すことが報告されている。われわれも同様な手法で、頭頸部癌培養細胞をマトリゲル状で培養することにより、sphereを形成する細胞集団の分離同定回収方法を確立した。これらの細胞集団は母細胞集団の中で、より上皮間葉転換をおこした細胞であり同時に頭頸部癌幹細胞の近い性格を帯びた細胞と考えられる。Sphere形成細胞を行った実験により以下の様な事が明らかになっている。母細胞集団に比較して高い浸潤能力を示しStat3の転写活性が高い。また頭頸部癌幹細胞のマーカーと考えられるCD44や間葉系細胞のマーカーであるVimentinの発現が亢進している。 2. EGFRの下流で働くCIN85蛋白質に関して以下のような事を明らかにした。頭頚部扁平上皮癌の臨床標本において、CIN85の発現量がリンパ節転移及び臨床病期と有意に相関すること。頭頸部癌培養細胞においてCIN85はEGFRの細胞内移行を促進するがEGFRのシグナル強度には影響を与えない。逆にTGF-α刺激ではEGFRのfast-recycling back loopが形成される。このloopによりras-MAPKの恒常的活性化が起こる。これがCIN85による頭頸部癌の悪性化のメカニズムと考えられる。この結果はNeoplasia誌およびJ Oncology誌に掲載された。 3. 興味深いことに、CIN85はStat3のシグナルに対しては抑制的に働く傾向が見られる。
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