2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592199
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
能美 希 大分大学, 医学部, 助教 (40468020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
渡辺 哲生 大分大学, 医学部, 准教授 (50231709)
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
児玉 悟 大分大学, 医学部, 講師 (40325717)
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Keywords | 頭頸部癌 / 腫瘍免疫 / TLR / アポトーシス / 細胞増殖 |
Research Abstract |
Toll like receptor (TLR)は自然免疫を担う重要なセンサーのひとつとして近年注目されている。TLRの各メンバーが病原微生物の構成成分をそれぞれ特異的に認識し,非自己の認識を司っている。また,TLRを介した自然免疫系の活性化は獲得免疫系の活性化への重要な橋渡しを行うため,免疫応答の最初のトリガーとしても重要な役割を担っていることが明らかとなってきた。一方で,最近の研究でTLRは各種癌細胞においても発現することがわかってきたが,現在のところ癌細胞自体におけるTLRの役割についてはほとんど解明されていない。前年度までに我々は,頭頸部扁平上皮癌細胞株において,in vitroでTLRの発現についての検討を行い,頭頸部癌においてはTLR2およびTLR3が強発現する傾向があり,TLR3のリガンドであるpoly I:Cで細胞株を刺激すると,TLR3を介する経路での癌細胞自身のアポトーシス誘導されることを解明した。本年度は,頭頸部癌細胞株をTLR2のリガンドであるPam3CSK4で刺激し,細胞増殖能に関与するかについて検討した。その結果,TLR2の発現の程度によって,またリガンド濃度依存性に細胞増殖が誘導された。またその現象はTLR2発現ベクター導入後では促進され,siRNA導入後では抑制されることより,TLR2を介する刺激で癌細胞自体の細胞増殖が誘導されることが解明された。この結果,口腔内常在菌をはじめとする細菌感染が頭頸部癌の増悪因子のひとつとなっている可能性が示唆された。また,同じ癌細胞でもTLR2とTLR3の発現の程度は多様であり,さらにそれらを介する刺激でアポトーシスと細胞増殖という相反する現象が誘導されるという興味深い結果となった。
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Research Products
(2 results)