2010 Fiscal Year Annual Research Report
加速器中性子源を用いた、頭頸部がんに対する硼素中性子捕捉療法の臨床研究
Project/Area Number |
21592208
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
粟飯原 輝人 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30268619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平塚 純一 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30192298)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
森田 倫正 川崎医科大学, 医学部, 助教 (40341119)
|
Keywords | 硼素中性子捕捉療法 / 加速器中性子源 / 原子炉中性子源 / 新規診断進行頭頸部癌 / 頸動脈病変 |
Research Abstract |
本年度は新規診断進行頭頸部癌に対するBNCTを2症例に対して行った。頸部転移病巣に対する照射が1例と鼻腔内腫瘍に対する照射が1例であった。頸部転移病巣の症例は、病変が頸動脈を一部巻き込んでいた。BPA-PETではT/N比は2.6で、頸動脈周囲の硼素集積性は均一であった。照射計画時では、照射方向から考えると一番最深部に頸動脈が位置しており、最深部の線量を20Gy-Eq以上に設定すると頸動脈周囲の放射線障害が懸念された。その為最深部の線量を15Gy-Eqに設定し照射を行った。抗腫瘍効果は、臨床的CRであり、照射6ヶ月後の現在、頸動脈周囲に放射線障害を認め無かった。鼻腔腫瘍に対するBNCTでは、BPA-PET検査でT/N比が2.7であった。画像上は腫瘍全体に均一なBPAの集積を認めた。照射後の初期効果判定はPRであったが、照射3ヶ月後に腫瘍の再増殖を来した。その後腫瘍部を全摘し、その後の経過は良好である。 一般的にBNCTは、BPA-PETの腫瘍組織/正常組織の集積比で照射線量を決定する。その際に問題になるのは、照射に伴う重要臓器の障害である。本年度の1例は頸部病変であったが、頸動脈を病変が巻き込んでいた事もあり、照射に伴う頸動脈への影響をみる上では非常に参考になる症例であった。以前に我々が経験した頸動脈周囲に病変が接している、5症例のうち、照射後に頸動脈に何らかの障害を来した症例は、照射前に病変部の上皮欠損が生じていた2症例であった。我々の症例から「頭頸部BNCTでは、病変部に頸動脈が巻き込まれている場合でも、照射部位の上皮欠損が無ければ安全に照射が可能である」事が証明される結果となった。この事は、加速器中性子源を用いた頭頸部BNCTの線量計画を行う上で、照射線量を決定する重要な因子になると考えられた。
|
Research Products
(2 results)