2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌における癌幹細胞とEGFR標的治療との相関に関する研究
Project/Area Number |
21592211
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
藤井 正人 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚平衡覚研究部, 部長 (70129633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽生 昇 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚平衡覚研究部, 外部研究員 (60365369)
|
Keywords | 頭頸部癌 / 癌幹細胞 / EGFR |
Research Abstract |
【背景と目的】近年癌幹細胞の概念が提唱され、1997年急性骨髄性白血病において癌幹細胞の同定の報告以後、他の固形癌に於いても報告されている。2007年にはPrinceらにより頭頸部扁平上皮癌におけるSide Population(SP)細胞の同定とその癌幹細胞としての可能性が報告された。頭頸部癌に於いてもSide Population(SP)細胞の同定とその癌幹細胞としての可能性が報告されているが、その役割は十分に解明されていない。そこで我々は(1)舌扁平上皮癌細胞株におけるSP細胞の有無,(2)SP細胞における癌幹細胞関連遺伝子の発現,(3)臨床検体における同関連遺伝子の発現とその臨床的意義について検討した。昨年度の研究でOct3/4、Nanogら神経幹細胞のマーカーの発現を検討しNotch及びCD133についても検討した。一方、SAS細胞とSCC4ではEGFR発現を確認した。今回は臨床検体についても各種の癌幹細胞マーカーを検討した。【方法・結果】(1)DNA結合色素Hoechst33342を用い舌癌細胞株をflowcytometryにてsortingした結果,SPはSASにて0.9%、HSC4にて0.7%、SCC4にて10.2%、それぞれ認められた。(2)RT-PCRにて癌幹細胞関連遺伝子の発現をSCC4のSP細胞とnon SP細胞の間で比較した結果、SP細胞で転写因子Oct3/4、Nanog、およびABC transporterのABCG2の発現が高かった。ALDH、CD133は発現を認めなかった。(3)初回治療として舌部分切除のみを行い、3年以上経過観察したstageI/II舌扁平上皮癌例のうち原発巣標本を入手しえた41例を対象に、Oct3/4とNanogの発現を免疫染色にて評価し,後発頸部リンパ節転移(delayed neck metastasis:DNM)との関係について検討した。DNMは13例(31.7%)に認められ、Oct3/4、Nanogの発現との間に有意な相関が認められた。【考察】頭頸部扁平上皮癌には癌幹細胞が存在し,その指標としてOct3/4、Nanogが有用である可能性,およびこれら指標を発現するcancer stem-like cellの存在がDNMに寄与している可能性が示唆された。
|