2009 Fiscal Year Annual Research Report
硝子体細胞―血管細胞連関による網膜血管環境安定化機構と糖尿病網膜症治療法開発
Project/Area Number |
21592215
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山下 英俊 Yamagata University, 医学部, 教授 (90158163)
|
Keywords | 糖尿病黄斑浮腫 / 網膜内境界膜 / 硝子体細胞 / グリア細胞 / 網膜-硝子体海面 / 血管内皮細胞 / ステロイド / 点眼約治療 |
Research Abstract |
糖尿病黄斑浮腫(DME)の病態を明らかにする目的で網膜-硝子体界面を3次元的に観察した。 山形大学医学部附属病院眼科で治療をおこなったDME16例18眼。 3次元観察は術前後にFD-OCTを用いて黄斑部断層像とセグメンテーション解析による観察を行った。硝子体手術では内境界膜(ILM)、黄斑上膜(ERM)を除去し、一部を病理組織学的に観察した。術前の網膜表面のOCT所見は3群に分類できた。I群:断層像では平滑で3次元的観察で微細な趨壁(fine fold)を認めるもの8眼(44%)。II群:断層像で明らかに凹凸、ERMが検出されるもの7眼(39%)。III群:断層像、3次元的観察で平滑なもの3眼(17%)。術後3か月で平均網膜厚減少率は1群35%、2群53%、3群50%だった。I群では術後fine foldが消失し組織学的にILM上に細胞付着像がみられた。II群ではERM、fine fold消失を認めILM剥離非施行例でfine foldは残存した。ILMへの細胞付着と硝子体皮質様組織がみられた。ILM上の細胞の起源に関しては、硝子体細胞、網膜グリアなどの可能性があり、その作用を細胞生物学的に検討する実験系をセットアップしつつある。III群の所見は変化しなかった。網膜表面の微細な趨壁をセグメンテーション解析による3次元的観察で捉えられた。 硝子体手術後においても網膜厚が減少せず治療効果が検出できない症例が6ヵ月以降36ヵ月までで40%みられる(生命表法による)。このような難治性DMEに対して、血管内皮細胞の保護作用があり、網膜血管の透過性亢進を抑制することから浮腫の治療効果を期待してステロイド点眼液による治療法を開発した。点眼群では平均網膜厚は2か月後に有意に減少し、治療期間中の網膜厚改善の割合は73%であった。この治療成果を特許申請した。今後、治療薬として臨床で使えるようにする臨床研究を推進する予定である。(740文字)
|
Research Products
(6 results)