2010 Fiscal Year Annual Research Report
D-アミノ酸を新たな分子標的とする糖尿病網膜症のメカニズムの解明
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21592216
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加治 優一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50361332)
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Keywords | ラセミ化 / D型アミノ酸 / 糖尿病網膜症 / 瞼裂斑 / climatic droplet keratopathy / 角膜ジストロフィー / TGFBI / アミロイド |
Research Abstract |
・D-アミノ酸含有タンパク質が「角膜ジストロフィー」「翼状片」の原因であることを明らかにした.角膜ジストロフィーはTGFBIの遺伝子の変異で生じることが知られているが,なぜ角膜にアミロイドが沈着するのか不明なままであった.我々は角膜ジストロフィーにおいて,変異型TGFBIがラセミ化を受けてD-アミノ酸を含むようになることで,アミロイド化が促進されることを見いだした.さらに加齢性眼疾患の代表である翼状片におけるelastotic degenerationと呼ばれる異常凝集タンパク質がD-アミノ酸含有タンパク質の塊であることを見いだした. ・「角膜ジストロフィー」のin vitroモデルを作成し,角膜ジストロフィーの光線力学療法の基礎を確立した.我々は,変異型TGFBI由来のペプチドを合成し,様々な条件下でアミロイド化を観察した.その結果,格子状角膜ジストロフィーおよびAvellino角膜ジストロフィー由来のペプチドはアミロイド形成を起こしやすいことを見いだした.これは,現在までin vivoモデルの無い角膜ジストロフィーに対して,新しいin vitroモデルを作成したこととなる.さらにチオフラビンTという色素を用いてアミロイドを標識して,レーザーを照射することで,アミロイド線維のみが特異的に分子レベルで分解されることを見いだした.この成果は,従来は角膜移植しか治療法が無かった角膜ジストロフィーに対して,新しい治療の選択肢を与えることとなる.
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Research Products
(22 results)