2011 Fiscal Year Annual Research Report
OCTを用いたさまざまな網脈絡膜疾患における脈絡膜の変化の研究
Project/Area Number |
21592225
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 逸毅 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10313991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 浩子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40207478)
|
Keywords | 光干渉断層計 / 脈絡膜 / 網脈略膜疾患 / 強度近視 / 中心性漿液性脈絡網膜症 |
Research Abstract |
近年、光干渉断層計(以下OCT)により網膜、硝子体、最近では前眼部の新知見が次々と発見されてきている。一方、脈絡膜はOCTを含めたさまざまな検査機器を用いても網膜下の組織であるためにその詳細な研究は困難でありほとんどされてこられなかった。しかし、最近になりOCTの性能が向上するにつれ、脈絡膜がより詳細に描出されるようになりその評価が可能となってきた。本研究では、これまでin vivoでの研究がほとんどされてこられなかった脈絡膜の生理的、病的な変化をOCTを用いて明らかにしようとして行われた。 平成23年度は、正常眼に加えさらに疾患眼、特に強度近視眼についてOCTを用いた脈絡膜の解析を行った。正常眼の解析では、既報通りの年齢・眼軸長との相関が確認された。強度近視眼の解析では、中高年においても眼軸の延長が起きている症例があり、これらにおいて後部ぶどう腫の進展、脈絡膜の菲薄化、眼軸長の延長がそれぞれお互いに関係しながら伸展していることが推定された。本年度のさらなる解析の結果では、強度近視眼で検眼鏡的にみられる視神経乳頭コーヌスのサイズは中心窩下脈絡膜厚、および鼻側の後部ぶどう腫高と相関しており、眼軸の延長とともに黄斑鼻側網脈絡膜の伸展のために視神経乳頭コーヌスが形成されていることが推察された。さらに、コーヌスを1年間経過観察した際のコーヌスの拡大量は、眼軸の延長量と関係しており、視神経乳頭コーヌスの観察は、中高年における眼軸延長、脈絡膜菲薄化の検眼鏡的な指標となりうる可能性が示唆された。
|