2009 Fiscal Year Annual Research Report
眼内血管新生疾患における血管成熟の制御と造血系幹細胞との関連
Project/Area Number |
21592230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 佑介 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20362717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50294096)
瓶井 資弘 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40281125)
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Keywords | VEGF / SDF1□ / 増殖糖尿病網膜症 / 血管血管 / 造血幹細胞 / 血管前駆細胞 / 抗VEGF抗体 / 新生血管増殖膜 |
Research Abstract |
虹彩血管新生を伴う重症増殖糖尿病網膜症(PDR)患者に対する抗VEGF抗体投与前・後に採取した前房水におけるVEGFおよびSDF1□の濃度測定を行った結果、投与後のVEGF濃度は有意に(P<0.001)減少したのに対し、SDF1□は虹彩新生血管を含めた病期進行の重症度に比例して、前房水内のSDF1□濃度が増加し、抗VEGF抗体の投与前後でSDF1□濃度に有意な変化はなかった。全患者の手術時に採取した硝子体サンプルにおけるSDF1□濃度平均は1940.6pg/mLであり、このうち、抗VEGF抗体投与後にVEGF濃度が検出感度(15.6pg/ml)未満の硝子体サンプル(200ul)を用いて、ヒト網膜血管内皮細胞(HRE)の遊走、管腔形成、増殖アッセイを行いましたところ、SDF1□濃度に比例して血管新生促進する生理作用がみられた。またSDF1□の中和抗体の同時投与によって、すべての血管新生の生理活性が抑制されることが確認されたことから、虹彩血管新生を伴うPDR患者において、VEGFとは独立したSDF1□による血管新生促進作用が存在することが示され、VEGF抑制下での新生血管の増殖や抗VEGF抗体投与後の血管新生の再発にSDF1□が関与していることが示唆された。対象患者における新生血管増殖膜組織が採取できた4例(抗VEGF抗体投与例2眼、非投与例2眼)における免疫組織染色の結果、血管内皮細胞におけるVEGFならびにSDF1□受容体であるVEGF-R1, R2, CXCR4が4例ですべて発現しており、抗VEGF抗体による発現抑制はなかった。CD34陽性、VEGF-R2陽性、c-Kit陽性細胞は3眼で観察され、造血系幹細胞(HSC)や前駆細胞(EPC)の存在が示唆された。しかし、採取できた増殖膜サンプル数が限られており、現段階でHSCとEPCの存在が抗VEGF抗体による発現抑制が存在するかどうかを来年度に継続して検討する必要がある。
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