2010 Fiscal Year Annual Research Report
眼内血管新生疾患における血管成熟の制御と造血系幹細胞との関連
Project/Area Number |
21592230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 佑介 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20362717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50294096)
瓶井 資弘 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40281125)
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Keywords | VEGF / SDF1α / 増殖糖尿病網膜症 / 血管新生緑内障 / 血管線維増殖膜 / 抗VEGF抗体 / 造血幹細胞 / 血管前駆細胞 |
Research Abstract |
前年度の収集サンプル数(4眼)が少なかった実験の継続として、虹彩新生血管を合併した活動性の高い増殖糖尿病網膜症(PDR)症例に対して、術前の抗VEGF抗体の投与有無によって術中に採取した血管線維増殖膜におけるVEGFならびにSDF1α受容体であるVEGF-R1,R2,CXCR4の発現を免疫組織染色法にて観察した。抗VEGF抗体6眼ならびに非投与例6眼とも受容体VEGF-R1,R2,CXCR4の発現が観察され、抗VEGF抗体の投与有無による受容体発現の抑制効果は無いことが確認された。また、CD34陽性、VEGF-R2陽性、c-Kit陽性細胞も全12眼で観察され、造血系幹細胞(HSC)や前駆細胞(EPC)な抗VEGF抗体の投与有無に関係なく存在することが示唆された。また昨年の実験と同じく術中に採取した硝子体サンプルでのVEGF濃度とSDF1α濃度の測定を糖尿病網膜症に対する硝子体手術を行なった30眼で行い、抗VEGF抗体を投与して1週間以内に手術を行なった18眼におけるVEGF濃度は全例とも検出感度(15.6pg/ml)未満であり、投与しなかった12眼では平均871.3pg/mLと既報に同じく投与群で有意に(P<0.0001)眼内のVEGF濃度が抑制されたが、 SDF1α濃度は投与群と非投与群で有意差がなかった。上記の免疫組織染色の結果と合せると、抗VEGF抗体による眼内新生血管は既存新生血管の萎縮・消退させる効果を有するが、抗VEGF抗体によるVEGF抑制に関係なく高値であるSDF1αにより誘導されるHSCとEPCが新生血管組織に存在し、その後の新たな新生血管の誘導を引き起こすことが推察された。また、高圧酸素負荷にて誘導されるマウスの血管新生モデルにおいて、非酸素負荷マウスに比べて、VEGF、SDF1αの発現量とも有意に上昇したが、IGFBPは両群で有意差はなかった。フラットマウントではCD34陽性、VEGF-R2陽性、c-Kit陽性細胞は血管新生モデルで有意に多く観察された。P7の時点で抗SDF1α抗体を投与し、P12における網膜切片における硝子体腔内への新生血管の発芽を切片単位でカウントし半定量的に評価すると、抗VEGF中和抗体の抑制効果より弱いものの、新生血管の発芽を抑制する傾向が見出されたが、統計学的な有意差はなかった。また、いずれの抗体を投与した新生血管マウスモデルの網膜切片とも、CD34陽性、VEGF-R2陽性、C-Kit陽性細胞が観察されたことから、抗SDF1α抗体によるHSCとEPCの誘導抑制効果がどのぐらいあるのかが課題として検討する必要があり、今後は投与濃度と投与時期を割り振り、新生血管マウスモデルにおけるHSCとEPCの誘導を抗SDF1α抗体で抑制できるかどうかの継続実験を行なう。
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Research Products
(6 results)