2011 Fiscal Year Annual Research Report
眼内血管新生疾患における血管成熟の制御と造血系幹細胞との関連
Project/Area Number |
21592230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 佑介 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20362717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50294096)
瓶井 資弘 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40281125)
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Keywords | VEGF / SDF1α / 造血幹細胞 / 血管前駆細胞 / 抗VEGF抗体 / 抗SDF1α抗体 / 増殖糖尿病網膜症 / 血管線維増殖膜 |
Research Abstract |
75%高圧酸素負荷にて作成した血管新生マウスモデル(C57BL/6)に対して、P7で抗SDF1α抗体を濃度勾配的(0.01,0.1,1.0,10μg/50μL)に硝子体内に投与し、P12の時点で蛍光剤注入後に採取した網膜フラットマウントと組織切片では0.01,0.1,1.0μg/50μLでは明らかな血管新生抑制効果(硝子体腔内への新生血管の発芽)は見られなかったが、前年度で使用した最高濃度の10μg/50μLでのみ明らかな抑制効果が見られた。また、CD34陽性、VEGF-R2陽性、c-Kit陽性細胞の新生血管ネットワークでの発現は10μg/50μLの濃度の場合は、それより低濃度のいずれよりも明らかに発現が弱かった。このことから、血管新生マウスモデルでの抗SDF1α抗体の血管新生抑制効果は濃度勾配的ではなく、閾値を有する可能性が示唆され、その場合には造血系幹細胞(HSC)や前駆細胞(EPC)の誘導も抑制されている可能性が考えられた。昨年度の実験結果では抗VEGF抗体は濃度勾配的に血管新生抑制効果を有し、1.0μg/50μLの投与で血管新生の発症を完全に抑えたことを背景に、今回は抗VEGF抗体(0.1μg/50μL)単独投与群と抗SDF1α抗体(10μg/50μL)同時投与群を比較したところ、後者の方が組織切片における硝子体腔内への新生血管の発芽が有意に少なかった(P=0.021)ことから、SDF1αの抑制はVEGFの抑制とは別経路で血管新生を抑制できる可能性が強く示唆された。一方、テノモジュリン投与した血管新生モデルマウスの眼内血管新生因子の濃度ならびにEPCとHSCの局在と分布頻度の検討を行なったところ、これまでの実験結果と同様に、テノモジュリン(1.0μg/50μL)投与した高圧酸素負荷では網膜血管の無灌流領域の面積がコントロール群に比較して明らかに減少した。しかし、そこで採取した網膜組織と硝子体組織を一体した組織サンプル内のVEGF、SDF1αならびにIGFBP3の発現を測定し、コントロール群のそれと比較したところ、VEGF濃度はやや減少しているが、いずれのタンパクとも両群で発現に有意差を認めなかった。また、これとは別に組織切片ではCD34陽性、F1k陽性、c-Kit陽性細胞の発現はテノモジュリン投与群では発現が減弱していた。これらの結果からテノモジュリン投与群を介した無灌流領域の減少はHSCやEPCの誘導の減少と同時に生じていると解釈できるが、VEGF、SDF1αとの関連性を明らかにすることに至らなかった。
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Research Products
(6 results)