2011 Fiscal Year Annual Research Report
水チャンネル・アクアポリンの血管新生眼疾患への関与
Project/Area Number |
21592235
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北岡 隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80234235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隈上 武志 長崎大学, 長崎大学病院, 准教授 (70294329)
鈴間 潔 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80335265)
藤川 亜月茶 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (60363503)
築城 英子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30363493)
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Keywords | アクアポリン / 血管内皮増殖因子 / 網膜色素上皮 / 硝子体注射 / 網膜 / レーザー光凝固 / 走査レーザー検眼鏡 / 光干渉断層系 |
Research Abstract |
水チャンネル蛋白であるアクアポリン(aquaporin, AQP)は、血管新生に関与することがわかった(Saadoun S, et al.Nature 2005 434 : 786)。本研究でね網膜色素上皮に関係するAQP1が加齢黄斑変性に関与するか検討し、そのための臨床的な影響も光干渉断層計や走査検眼鏡を用いて精査した。 現在最も一般的なヒト網膜色素上皮細胞の培養系であるARPE19を使用し、アルゴンブルーによるレーザー光凝固を施行し、AQP1の発現をノーザンブロットで調べたところ、軽度の上昇を見たが、はっきりとした有意とはいえなかった。次に8週齢のBalb/cマウスを使用し、アルゴンレーザーで、網膜に100マイクロメートル、200mW、0.2秒の条件で過剰光凝固をおこない、ノーザンブロットとin situ hybridization法でVEGFとAQP1の発現を調べた。両者とも上昇を認めた。AQPが血管新生因子としては働くかどうか、は不明であるが、VEGF値と平行して動く可能性が示唆され、血管新生におけるAQPの関与を示唆した。次に、ARPE19を低酸素状態で培養し、その前後でのAQP1とVEGFの発現をメッセージレベルと蛋白レベルで検討したところ、AQP1とVEGFの両者ともにメッセージ/蛋白の両者で上昇を認めた。アルゴンレーザーでは過剰に凝固を行うと新生血管を生じる場合があるが、レーザーにより生じた網膜の浮腫状態が、浮腫吸収の過程で発現したAQP1により新生血管発生へ向かう可能性が示唆された。この過程を防ぐ坊法の一つとしてAQP1の抗体による治療の可能性があるが、その予備実験としてIgGの硝子体内注射の動態を研究し、網膜に移行することが確認された。 次に前述の条件で網膜にレーザーの過剰光凝固を行い、新生血管を発現させた。この新生血管は蛍光眼底撮影で観察され、その網膜を伸展標本とし、AQP1,4の抗体で染色し、またVEGFの抗体でも染色したが、きれいな染色結果の場合とほとんど染色の認められない場合がでてしまっていた。 また様々な疾患を治療する場合に手術侵襲により逆に炎症が助長され新生血管を発生してしまう場合があり、その対策として結膜切開を行わない治療法を開発し、その結果を報告した。さらに新生血管が発生した場合の検出方法として走査レーザー検眼鏡が有効であることを見いだした。また新生血管および網膜浮腫を検知する場合にその検査器機である光干渉断層計の機器ごとの違いを明らかにし、評価方法の確立を図った。
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Research Products
(4 results)