2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスが落屑緑内障線維柱帯ならびに水晶体・虹彩上皮細胞に与える影響の検討
Project/Area Number |
21592240
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 和彦 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (40252001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 彰 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00312348)
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Keywords | 細胞・組織 / 緑内障 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
落屑物質が線維柱帯に沈着する落屑緑内障は、眼圧変動が大きく点眼加療によるコントロールが困難な難治緑内障の1つである。落屑物質形成には細胞ストレスとTGF-β1が関与しているという仮説があり、我々も過去に落屑緑内障の前房水中でTGF-β3が上昇していることを示している。本研究の目的は各種TGF-βが酸化ストレスと呼応して落屑物質形成に関与していることを示し、原因遺伝子とされるLOXL1との関連を明らかにすることであった。昨年度までの研究において種々の手術サンプルをもとに落屑緑内障眼由来細胞の培養系を検討した結果から、最終的には虹彩色素上皮細胞ではなく、結膜下線維芽細胞を主体として実験系を構築することが実際的であることが判明した。本年度においてはこの実験系を用い、最初に非緑内障眼由来の結膜下線維芽細胞に対して、培地に曝露時間を変えて各種濃度のTGF-β1,2,3を作用させ、LOXL1、fibrillin-1遺伝子のmRNA発現量を検討した。その結果、すべてのTGF-βにおいて両遺伝子それぞれのmRNA発現量の亢進を認めた。また過酸化水素を付加した状態で結膜線維芽細胞を培養し、酸化ストレス下での反応を確認した。次いで落屑緑内障眼由来の結膜下線維芽細胞を用いて同様の実験を予定していたところ、当科とゲノム医科学との共同研究として実施した落屑緑内障に対するゲノムワイド関連研究の結果から、落屑緑内障にはLOXL1遺伝子のみならず、他の遺伝子の関与も疑われることが明らかとなった。またLOXL1遺伝子自体も欧米人と日本人の間ではSNPの方向性が異なっており、遺伝子の関与の仕方に人種差が認められることから、一義的に原因遺伝子とは言い切れない状況にある。このような現状を鑑み、酸化ストレスがLOXL1遺伝子関連物質のみならず、新たに判明した遺伝子の産生物質に対する影響も合わせて検討すべきと考えられたため、研究計画の再検討を行ない遺伝子解析を先行させた後にこれらの検討を行うべきであるとの結論に達した。
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Research Products
(2 results)