2010 Fiscal Year Annual Research Report
SOD1ノックアウトマウスを用いたドライアイ発症における上皮間葉移行の検討
Project/Area Number |
21592245
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
根岸 一乃 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10228281)
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Keywords | ドライアイ / 老化 / ストレス |
Research Abstract |
我々は、Cu,Zn-superoxide dismutase 1(SOD1)欠損マウスを用いて、加齢による眼表面の変化と酸化ストレスの関係を調べている。昨年度、10週及び50週齢の野生型およびSOD1ノックアウトマウス(SOD1KOマウス)の眼表面及び涙液機能検査を行った。SOD1KOマウスでは週齢とともに涙液分泌量の低下が起こり、それによって涙液の安定性を低下させ、最終的に眼表面障害を起こしていることが分かった。今年度は採取したサンプルの解析を中心に行った。HE染色にて50週齢SOD1KOマウスで涙腺の組織構造の萎縮が認められた。さらに免疫染色にて50週齢SOD1KOマウスでDNAの酸化ストレスマーカーである8-OHdG(8-hydroxy-2'-deoxyguanosine)および脂質酸化ストレスマーカーである4HNE(4-Hydroxy-2-nonenal)の発現上昇が確認できた。TUNEL染色にて50週齢SOD1KOマウス涙腺では陽性細胞の割合が、10週齢SOD1KOマウスより高く、また50週齢野生型よりも高かった。涙液中の炎症性サイトカインであるIL-6、TNFαは50週齢SOD1KOマウスで10週齢SOD1KOマウスより、また50週齢の野生型よりも高値を示した。SOD1KOマウス涙腺腺房では1型コラーゲンの局在が基底膜において不連続性で、Eカドヘリンの発現低下、α smooth muscle actinの発現低下が認められた。このことより、涙腺の組織学的変化は上皮間葉移行(Epithelial Mesenchymal Transition、EMT)による可能性が示唆された。現在、RNAを抽出してEMT関連のmRNAの定量化を進めている。
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