2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドPACAPの成体網膜神経幹細胞への作用と網膜神経再生機構の解明
Project/Area Number |
21592246
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
關 保 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (10245855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中町 智哉 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (30433840)
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Keywords | 網膜神経幹細胞 / PACAP / 網膜神経変性 / マウス |
Research Abstract |
目的: 神経ペプチドであるPACAPはラットにおける高眼圧または視神経損傷による視神経傷害を抑制することが報告されている。近年、網膜傷害誘導後に網膜に未分化神経系細胞が観察され、その細胞が神経節細胞への分化能を有していることから、成体網膜神経幹細胞の存在が示唆された。しかし、PACAPによる正常時および網膜障害時における網膜神経幹細胞の増殖・分化に対する作用は不明である。昨年度において、申請者はマウス硝子体内へのNMDA硝子体内投与による網膜神経障害モデルを確立し、PACAP同時投与による網膜保護効果について明らかにした。そこで本年度はヘテロ型PACAP遺伝子欠損マウスを用いてNMDAによる網膜障害を評価し、内因性PACAPの神経保護作用について評価した。さらにNMDA投与後の網膜における増殖細胞数の動態を組織学的に評価した。 方法と結果: 成熟雄マウス(野生型およびヘテロ型PACAP遺伝子欠損マウス)をセポフルレンにて全身麻酔し、角膜輪部よりNMDA(40 nM)を硝子体内に投与した。PACAP投与群ではPACAPをNMDAと同時に硝子体内に投与した。投与1、3、7、14日後に眼球を摘出して網膜連続パラフィン切片を作成し、HE染色およびTUNEL染色後に網膜神経節細胞数を計数した。野生型マウスにおいて、NMDA投与群の神経節細胞数は投与1日後から減少し始め、7日目以降の生存細胞数は一定となった。神経細胞死を検出するためにTUNEL染色を行ったところ、NMDA投与3日後にTUNEL陽性細胞が最大となった。一方、ヘテロ型PACAP遺伝子欠損マウスでは網膜のPACAP発現量が約50%となっており、NMDA投与後の網膜障害が野生型と比較して有意に増加した。さらに、NMDA投与後の網膜では内顆粒層におけるBrdU標識細胞が投与1日目から増加し、3日目でピークとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Neuroprotective effect of PACAP against NMDA-induced retinal damage in the mouse.2011
Author(s)
Endo K, Nakamachi T, Seki T, Kagami N, Wada Y, Nakamura K, Kishimoto K, Hori M, Tsuchikawa D, Shinntani N, Hashimoto H, Baba A, Koide R, Shioda S
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Journal Title
J Mol Neurosci
Volume: 43(1)
Pages: 22-29
Peer Reviewed
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