2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラット網膜虚血-再灌流モデルにおける水素点眼の網膜神経保護効果の研究
Project/Area Number |
21592248
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小原澤 英彰 Nippon Medical School, 医学部, 准教授 (20350035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 郁朗 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (30343586)
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Keywords | 活性酸素種 / 酸化ストレス / 水素分子 / 網膜虚血-再灌流傷害 |
Research Abstract |
活性酸素種は、生体内で酸素を利用する過程において生成されるが、生体にはこれを消去するシステムが備わっている。しかし、活性酸素種の過剰な生成は生成と消去のバランスを崩し、酸化ストレスとなる。特に、活性酸素種の中でもヒドロキシラジカル(OH・)は最も強力な活性酸素種の一つであり、その解毒システムについてもあまりよく知られていない。しかし、水素分子(H_2)が脳における虚血-再灌流時に発生するOH・を消去し、組織を保護することが発見された。眼科領域においても、網膜における虚血-再灌流による酸化ストレス傷害により、網膜神経細胞の障害が起こることが分かっており、この障害に対するH_2の投与が有効である可能性は極めて高いと考えた。今回、網膜虚血-再灌流時の酸化ストレス障害に対して、H_2点眼液が網膜の神経保護効果があるかを検討することとした。実験モデルとして、ラット網膜虚血-再灌流モデルを用い、H_2点眼液投与群と生理食塩水投与群で比較検討した。網膜虚血-再灌流による網膜障害の評価は、網膜神経細胞の酸化ストレス傷害およびそれに伴うアポトーシスによる細胞死、更に、それに続く網膜厚の菲薄化およびグリア細胞の活性化など形態学的変化で行った。H_2点眼液投与群では、酸化ストレスマーカー陽性およびTUNEL陽性細胞が有意に減少しており、網膜神経細胞の酸化ストレス傷害とそれに伴うアポトーシスを抑制することが確認された。また、それに引き続くグリオーシスを伴う網膜厚の菲薄化も抑制され、H_2点眼液が網膜の神経保護に有効であることが確認された。
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Research Products
(2 results)