2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラット網膜虚血-再還流モデルにおける水素点眼の網膜神経保護効果の研究
Project/Area Number |
21592248
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小原澤 英彰 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20350035)
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Keywords | 水素分子 / 酸化ストレス / SNAP / peroxynitrite / ex vivo |
Research Abstract |
網膜虚血-再還流による網膜障害に対して水素分子を飽和させた水素点眼が網膜神経保護効果を有するという結果が得られ、平成21年度に論文として発表した。昨年度はその研究成果を、第114回日本眼科学会総会において発表した。その後、新たな取り組みとして、水素分子がex vivoモデルにおいて網膜神経保護効果を有するかの検討をスタートした。緑内障などの網膜神経傷害は、NMDA受容体を介するグルタミン酸神経毒性のメディエーターとして一酸化窒素(NO)が関与するととが知られており、自身の細胞質内でミトコンドリアから遊離されたスーパーオキシドが反応してperoxynitriteが生成されて細胞死が起こることが知られている。peroxynitriteは非常に反応性の高いフリーラジカルの一つで,蛋白質を変性させたり膜脂質を酸化することで,網膜を含む中枢神経細胞に毒性を示すが、水素分子は活性酸素種のうちhydroxyl radicalとperoxynitriteを選択的に減少させる抗酸化物質であることが知られているため、このようなフリーラジカルによる神経毒性を抑制することが期待できる。今年度は、ラット網膜を培養液中に設置したフィルター上に静置した網膜ex vivoモデルを作成し、そこにNO産生試薬(SNAP)を添加することにより産生されるperoxynitriteによる網膜神経傷害に対して、水素分子がそれを抑制するかの検討した。評価方法として、TUNEL染色、酸化ストレスに評価として8-OHdG、4-HNEによる免疫染色で評価し、それぞれ水素分子がperoxynitriteによる網膜神経傷害を有意に抑制するという結果が得られた。今後はさらに評価項目を増やして検討する予定である。
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