2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592250
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
太田 浩一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70262730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 孝信 信州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50177797)
鈴木 悟 信州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30222061)
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Keywords | 眼内炎症 / クリスタリンミュー / EIU / EAU / 加齢黄斑変性 |
Research Abstract |
本研究ではラットのエンドトキシン誘発ぶどう膜炎にみられた虹彩・毛様体におけるクリスタリンミュー(CRYM)遺伝子の特異的発現がマウスのエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(好中球主体の急性ぶどう膜炎モデル)、実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(網膜抗原特異的T細胞によるぶどう膜炎モデル)、レーザー誘発脈絡膜新生血管モデル(加齢黄斑変性モデル)において特異的な発現をしているかを遺伝子レベルおよびタンパクレベルで確認をすることを目標とする。昨年度に確立した各モデルにおいて炎症の程度とCRYM発現を確認ができた。今年度はCRYMノックアウトマウスとワイルドタイプであるC57BL/6Jマウスでの炎症度の程度を比較検討した。 1) エンドトキシン誘発ぶどう膜炎:ラットではリポポリサッカリド(LPS)投与24時間後に前房炎症はピークを迎え、以降消退した。一方、マウスでもLPS投与1日後に炎症は生ずるが、一度消退し、5日後にさらに多くのマクロファージを主体とする前房炎症が生じた。CRYMノックアウトマウスとワイルドタイプでの比較ではLPS投与旧後の炎症の程度に差が無かった。しかし、5日後の炎症ではCRYMノックアウトマウスで炎症が軽度であった。つまり、CRYMが後期炎症に関与していることが確認された。 2) 実験的自己免疫性ぶどう膜炎:炎症を惹起させる網膜抗原(IRBP)での免疫後の炎症度をCRYMノックアウトマウスとワイルドタイプで比較した。免疫後9日から2日ごとに網膜炎に関して眼底検査をしたところ、ノックアウトマウスで炎症が軽微である傾向を認めた。また、免疫21日後の組織学的検討ではCRYMノックアウトマウスでの網膜および虹彩・毛様体での炎症の軽減を認め、Th1反応においてもCRYMの関与が確認された。 3) レーザー誘発脈絡膜新生血管モデルについては現段階では新生血管形成の個体差が大きく、モデル確立自体が次年度への継続となる。 2つの眼内炎症モデルにおけるCRYMの関与が確認され、大きな成果となった。
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