2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いたベーチェット病に対する抗TNF-a抗体治療の作用機序の解析
Project/Area Number |
21592263
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岡田 アナベルあやめ 杏林大学, 医学部, 教授 (50303962)
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Keywords | 生物学的製剤 / ベーチェット病 / ぶどう膜網膜炎 / 抗TNF-alpha抗体 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
目的:失明率の高い難治性のぶどう膜網膜炎であるベーチェット病に対して、2007年1月より生物学的製剤である抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)が保険適応され、その有効性が報告されている。その一方で、抗TNF-α抗体治療の作用メカニズムについては不明な点が多い。今回、申請者はベーチェット病ぶどう膜網膜炎における抗TNF-α抗体療法の作用機序を明らかにするため、マイクロアレイの手法を用いてインフリキシマブ治療前後の末梢血単核球における網羅的な遺伝子発現解析を施行した。 方法:ベーチェット病患者(4例:男性1例、女性3例)からインフリキシマブ投与開始前と投与開始22週間後に末梢血20mlを採取。比重遠心法にて単核球を分離後、total RNAを抽出。吸光度計にてOD値を測定し、RNAの収量を確認後、Code Link human gemone arrayにて治療前後の末梢血単核球の遺伝子発現量を比較した。さらに定量PCRを行いマイクロアレイで得た遺伝子発現量について確認を行った。 結果:4例について治療開始前と開始後で比較し、発現量が2倍以上、もしくは0.5倍以下に変動した遺伝子群についてNCBIのデータベースを用いたpathway解析を行ったところ、ケモカイン、ケモカイン受容体に関連するgene pathwayの有意な発現低下がみられた。一方でT細胞受容体の細胞内シグナルに関連するgene pathwayの上昇がみられた。また、個々の炎症性サイトカインの発現について検討したところ、IL-1、IL-6、IFN-gamma関連遺伝子群の発現の低下が4例全例の患者でみられた。ケモカイン、ケモカイン受容体遺伝子の発現上昇、低下については各症例間にばらつきがみられた。さらにIL-1 receptor type 2,IL-6受容体の一つであるGP130の発現がインフリキシマブ治療後に低下していることを定量PCRにて確認した。 結論:インフリキシマブ治療前後において炎症性サイトカイン、ケモカイン関連の遺伝子発現の低下がみられた。今後はさらに症例を増加し、上記の解析を進める予定である。
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