2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸素濃度による角膜幹細胞の分化・増殖制御機構の解明
Project/Area Number |
21592264
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
榛村 重人 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (00235780)
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Keywords | Hypoxia inducible factor (HIF) / 幹細胞 / 低酸素培養 / 角膜上皮細胞 / 細胞周期 |
Research Abstract |
我々は以前低酸素培養(2%O2)がヒト角膜上皮細胞を未分化に維持したまま増殖を促進することを見出し、本研究においてその機構を解析している。我々はヒト角膜上皮細胞株に対してHIF-1a,HIF-2aのsiRNAによる抑制実験を行い、HIF-1aではなくHIF-2aの抑制が細胞増殖を抑制すること、この増殖抑制は低酸素濃度下のみならず、正常酸素濃度下においても起とることを見出した。HIF-1aおよびHIF-2aは細胞周期のG1期をc-Mycを介して制御することから、HIF-2a抑制の細胞周期に対する影響を核蛍光染色後のフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡観察により確認したところ、HIF-2aの抑制によってS期およびM期の細胞は減少していたものの、G1期ではなくG2期の細胞が増加していた。 平成23年度ではこの詳しい機構を解明するため、G2期を制御するタンパクについて解析を行った。G2期の細胞周期制御にはCyclinB-CDK1複合体が関与する。CDK1はMyt1およびWee1によって抑制的リン酸化を受けるが、Cdc25Cにより抑制的リン酸化が解除されると、細胞がG2期からM期へ進行する。そこで、CDK1,Cdc25C,Wee1,Myt1についてウェスタンブロットによる解析を行った。その結果、正常酸素濃度下および低酸素濃度下のどちらにおいても、HIF-2a抑制群において抑制的リン酸化されたCDK1の量が優位に増加していることが確認できた。 これらの結果により、HIF-2aが角膜上皮細胞の恒常性維持に必須であり、HIF-2a抑制でCDK1の抑制的リン酸化を介してG2 arrestが引き起こされる可能性を示唆された。
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Research Products
(3 results)