2011 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルス眼感染症の新しい薬物治療の開発と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
21592269
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
内尾 英一 福岡大学, 医学部, 教授 (70232840)
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Keywords | アデノウイルス / 抗ウイルス薬 / 急性結膜炎 / 自然免疫 / 抗菌ペプチド |
Research Abstract |
目的:ヒトアデノウイルスは結膜感染症の最もよく見られる病原体である。自然免疫においてはいくつかの抗菌ペプチドの作用が報告されており,眼表面にも存在している。hCAP(human cationic antimicrobial protein)-18はカセリシン様配列を有し,そのC末端ペプチドがLL-37である。われわれはこのhCAP-18/LL-37のin vitroにおけるヒトアデノウイルスに対する増殖抑制作用を検討した。 対象および方法:A549細胞をウイルス培養に使用し,3,4,8,19aおよび37型を用いた。既報と同様に,LL-37の種々の濃度で作用させたアデノウイルスを24時間経過後に,さらに7日間培養し,定量PCR法でアデノウイルスDNAを測定した。 結果:LL-37の50%有効濃度(EC_<50>)は型により異なるが,118から270μMであった。LL-37はいずれの型にも濃度依存性の増殖抑制作用が見られたが,4型には無効であった。 結論:LL-37はヒトアデノウイルス3,8および19型に有意な抑制作用があることがわかった。この結果からhCAP-18/LL-37はアデノウイルス感染症とりわけ結膜炎に対する治療薬となる可能性が示唆された。
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