2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜移植再生治療を目標とした網膜変性モデルを用いての移植の条件検討
Project/Area Number |
21592270
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
万代 道子 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, 研究員 (80263086)
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Keywords | 眼科学 / 再生医学 |
Research Abstract |
昨年の研究より、変性網膜(rd1)に対する移植では、マイクログリアの集積とミュラーグリア細胞の活性化がみられる変性進行極期の後、マイクログリア、グリア活性化とも一旦沈静化し、グリオーシスが進行する前の時期が最も適していると考えられた。そこで今年度はrdマウスの生後4週から8週の間に移植を行い、シナプス促進効果を期待できるvalproica cid (VPA)や、変性網膜の炎症反応を緩和や拒絶反応を抑制する目的で、免疫系をTh2系にシフトするglatiramer acetateやシクロスポリンなどによる生着効果をさらに検討した。Glatiramer acetateやVPAの添加は生後4週の移植で有意に生着細胞数を増加させた。またcopaxonは移植部位へのマイクログリアの集積も抑制した。生着細胞を経時的に観察すると、移植後1ヶ月までに一旦網膜下の細胞数は減少するもののその後約3ヶ月はほぼ一定しており、最初の1ヶ月までにホストに何らかの形で組み込まれた細胞が中長期的に残る可能性が示唆された。また、この時点までの生着はシクロスポリン投与の有無の影響はなく、短期的には拒絶による生着阻害の影響は少ないと思われた。また仔マウスより採取した幼若視細胞を移植後、ホスト網膜をとりだして、移植細胞がホスト網膜下で成熟し、視細胞としての電気生理学的特徴を示す事を確認した。 また大型動物での実験としてウサギに仔うさぎの網膜細胞の移植を行い、マウスと同様、外層構造の保たれた網膜では細胞が生着すること確認した。ただウサギについてはまだ効率が十分とはいえず、大型動物についてはさらに検討を要する。
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