2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚三次元培養組織による慢性皮膚潰瘍再上皮化の実験的研究
Project/Area Number |
21592293
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 康俊 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20325963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝戸 裕貴 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20222581)
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Keywords | 細胞・組織 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
褥瘡、糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍など難治性の慢性皮膚潰瘍では、肉芽創面での上皮化が遷延する。創傷治癒過程における表皮角化細胞の増殖と分化による上皮化は、生体内では肉芽創面に存在する線維芽細胞との細胞間相互作用により大きくレギュレートされていると考えられる。本研究では皮膚三次元培養組織による創傷治癒モデルを用い、細胞増殖因子の発現・反応の違いに焦点を当て、正常皮膚と慢性潰瘍部における再上皮化の相違を検討することを目的としている。平成21年度は、1.正常線維芽細胞による創傷治癒モデルの作製2.慢性潰瘍から採取した線維芽細胞による創傷治癒モデルの作製3.上記1.2.基本モデルの組織検討を始めた。 平成22年度は、慢性潰瘍部線維芽細胞による皮膚モデルでの表皮層の形成・再上皮化の検討を進めた。慢性潰瘍部の線維芽細胞は、細胞自体の増殖能が乏しく、同細胞を用いた皮膚モデルでは表皮層の形成が十分ではなかった。正常線維芽細胞では、約7日間で7-8層の扁平上皮層を形成するが、慢性潰瘍部の線維芽細胞では培養日数を長くしても、形成される扁平上皮層は厚くならなかった。また創傷治癒モデルでは、表皮層の再上皮化ができなかった。欠損部を作製した辺縁からの表皮細胞の遊走・増殖が抑制された。培養日数を長くしても、正常線維芽細胞モデルのような再表皮化は見られなかった。既知の主要な増殖因子により、優位に表皮層の形成が促進する結果はまだ得られていない。無細胞真皮モデルでも、同様に表皮層が十分に形成されず、表皮層の形成には線維芽細胞との細胞間相互作用があることが示唆された。今後、慢性潰瘍部線維芽細胞に皮膚モデルの表皮層形成を促進する増殖因子の検討を行う。また生体での血流不全を想定した低酸素分圧の環境でのモデルの作製を試みる。
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