2011 Fiscal Year Annual Research Report
短期的電気刺激による神経再生の促進と神経端側縫合への応用について
Project/Area Number |
21592295
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (10365645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 裕造 順天堂大学, 医学部, 教授 (90306928)
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Keywords | 神経再生 / 短期的神経刺激 / トランスジェニックマウス / Green fluorescent Protein (GFP) / 神経移植 / 神経端側吻合 / 遺伝子改変動物 |
Research Abstract |
短期的電気刺激が神経再生に与える影響を主に軸索が蛍光発色するトランスジェニックマウスを用いて検討した。 マウスには、神経軸索が全て発色するThy1-YFP16miceと一部の運動神経が発色するThy1-YFPHmice、それに様々な蛍光色を発色するBrainbow miceが存在し、それぞれのマウスを用いて実験を行った。しかし、Brainbow miceは思った様な発色が得られず、個々の軸索の伸展形態を個体が生きたまま観察出来るLive imagingでは観察できる個体が少なく、共焦点レーザー顕微鏡での評価で一部の軸索が観察出来る状態であった。一方、神経軸索が全て蛍光発色するThy1-YFPは有用で、再生神経の全体的な傾向をLive imagingで観察することが出来、その発色強度を数値化してそれぞれの群でどのように違うかを評価することを試みた。 実験には、短期的電気刺激の違いで3つの群を作成した。まず、コントロールとして坐骨神経のCrush後、神経刺激装置を装着し電源を入れない群。30分刺激群として坐骨神経をCrush後、神経挫滅部より中枢側で30分20Hzの神経刺激を行いその後30分装置の電源を入れない群。さらに60分刺激群として、60分20Kzの神経刺激を行なった群を作成した。 一週間毎に同一マウスを開創し、神経再生の程度を蛍光顕微鏡下に蛍光発色する軸索伸張や発色程度を観察することで評価した(Live imaging)。また、移植神経内の再生神経を組織学的に観察し、再生神経数並びに再生軸索のミエリン鞘について評価した。 結果として、60分刺激群では0分刺激群に比べ7日目の神経再生は遠位まで到達していた。しかし14日後には観察できる範囲内での神経再生に差は無かった。トルイジンブルー染色を行った組織学的所見としては、挫滅部より5mm末梢と筋へ入る直前で100倍での1視野あたりの平均軸索数は60分刺激群で多く認められた。更に電子顕微鏡を用いて同部位でのミエリンの幅を測定したところ5mmと筋へ入る直前で共に60分刺激群で厚く、筋へ入る直前で統計学的有意差を認めた。足背外側での知覚神経の再生は4週後では明らかな差は認めなかった。 これらの結果より短期的神経刺激は60分行うことで神経発芽の数を増加させるというよりも、神経再生の速度を促進することで良好な機能回復を生じるのではないかと考えられた。
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Research Products
(1 results)