2010 Fiscal Year Annual Research Report
肥厚性瘢痕病態解明と治療薬開発のための基礎動物研究
Project/Area Number |
21592296
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
松村 一 東京医科大学, 医学部, 教授 (80256263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 龍太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (80384949)
小宮 貴子 東京医科大学, 医学部, 臨床研究医 (00385105)
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Keywords | 肥厚性瘢痕 / キマーゼ / TGFβ / クラウン系 / ミニブタ / 動物モデル |
Research Abstract |
昨年度に完成させたヒト肥厚性瘢痕動物モデルにて得られた組織を用いて、組織内キマーゼ活性とTGFβ活性を今年度は検討した。 1) クラウン系ミニブタを用いたヒト肥厚性瘢痕モデルでの組織キマーゼ活性 クラウン系ミニブタ正常皮膚組織ではほぼ測定されなかったが、肥厚性瘢痕組織内ではその活性は上昇していた。肥厚性瘢痕組織内のキマーゼ活性は、瘢痕組織厚が大きくなるに従い(最大の瘢痕厚は創作成後90日)活性は上昇し、創作成後90日で最大となり、以後は漸減した。また、肥厚性瘢痕中央部よりも辺縁部で高値を示した。従来、肥厚性瘢痕はその辺縁部で活動性が高いと言われていることを考慮すると、肥厚性瘢痕の活動度とキマーゼ活性がよく相関しているものと考えられた。 2) クラウン系ミニブタを用いたヒト肥厚性瘢痕モデルでの組織TGFβ濃度 組織TGFβ濃度は、創作成初期で高値を示し、以後漸減していった。また、肥厚性瘢痕中央部と辺縁部の比較では、瘢痕中央部で高値を示しており、キマーゼ活性と反対の傾向を示した。TGFβは初期に増加するため、キマーゼ活性の上昇によるアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの転化、それによるアンギオテンシンIIレセプターを介したTGFβの上昇の経路ではないと考えられた。 以上の結果より、組織キマーゼ活性の上昇は、肥厚性瘢痕の病態を良く示すと考えられる。したがって、キマーゼ阻害薬には、肥厚性瘢痕治療効果がある可能性が示唆された。
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