2011 Fiscal Year Annual Research Report
肥厚性瘢痕病態解明と治療薬開発のための基礎動物研究
Project/Area Number |
21592296
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
松村 一 東京医科大学, 医学部, 教授 (80256263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 龍太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (80384949)
小宮 貴子 東京医科大学, 医学部, 臨床研究医 (00385105)
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Keywords | 肥厚性瘢痕 / キマーゼ / TGFββ / クラウン系 / ミニブタ / キマーゼ阻害薬 |
Research Abstract |
肥厚性瘢痕の形成に関する病態は、十分に解明されていない。この理由は、適切な動物肥厚性廠痕モデルが無いことも大きな要因であった。このため、平成21年度、平成22年度で、クラウン系ミニブタを用いた肥厚性瘢痕動物モデルを開発した。更に、その病態解明のために、肥厚性瘢痕の形成過程での経時的な組織キマーゼ活性がその瘢痕形成と相関することが判った。 本年度は、平成22年度に引き続き、組織中のTGFβの活性に関して検討を加えた。これまで、TGFβは、瘢痕形成に大きな影響があると多く報告されている。キマーゼ活性が上昇によりアンギオテンシンIIレセプターを介してTGFβが上昇することが知られている。しかしながら、今回動物モデルでの解析では、キマーゼ活性が上昇するよりも早期にTGFβは上昇し、また、瘢痕の中での分布もキマーゼ活性の上昇する部位の分布とは大きく異なっていた。したがって、このモデルでは、上記の経路が主たる病態とは考えにくいことが判った。 次に、肥厚性瘢痕動物モデルにおいて、キマーゼ阻害薬であるキモトリプシン等の局所投与の影響を検討した(瘢痕局所への局所注入~臨床においては肥厚性瘢痕にステロイド薬を局所投与することがよく行われているために、この方法を採用した)。しかしながら、今回用いた投与量においては、有効な瘢痕形成の抑制は見られなかった。この結果は、キマーゼ阻害薬の投与では肥厚性瘢痕抑制効果が得られない可能性もあるが、それ以外に投与方法(肥厚性瘢痕が非常に硬く、局所注入自体、組織内の拡散が難しい)の問題が多いと考えられた。このため、より薬剤局所投与の容易な肥厚性瘢痕動物モデルを作成することとした。従来のモデルでの創治癒の段階で、コラーゲンマトリックス(人工真皮)を移植して瘢痕を作成することとし、現在、このモデルでの検証中である。
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